詩、小説
オリジナルな詩と小説達
Editer:snow Date:2025-10-23 13:04

作 林柚希
朝の1時限目の授業が終わると、早々にケーの下に駆け寄った。さっきの話はなるべく早く話した方がいいだろう。
「ケーちょっと話がある。ちょっとこっち来て。」僕は人のあまりいないところを選んで呼び寄せた。
「どうしたの?ちょっと痛いって。」ケーは僕に無理やり引っ張られて痛そうだ。
「ごめん、引っ張って。それでね、ワンダリング先生から言われたんだけどさ。」僕は、闇協会の支部の話を持ちだした。正直、考えれば考えるほど危ない気がしてしょうがない。
「…、そうなんだ。いいんじゃない?話を受けても。」ケーはのんびりしている。
「いや、そうはいかないだろう。支部ともなれば戦闘員が結構な数いるかもしれないよ。今までのようにはいかないよ。」
「大丈夫だよ。サポートを付けてくれるって話なんでしょう?それに…。」あくまでのんびりだ、ケーは。
「それに、何?」僕だけ焦っている。なんでこんなに焦るんだろう。僕は予知の能力なんてないのに。
「私は今朝、予知夢を見たんだ。」ケーはエヘ、を笑いながら続けた。
「予知夢で、闇協会の支部を一つ潰したぞ!って、バンザーイって喜んでいる夢だったよ。」他にも夢を見たけれどね、と続ける。
「そうなんだ。僕だけアセってバカみたいだ。…そっか。」僕は大丈夫なんだろうか。
「トゥルーは、なんだか心配性になってない?」僕の前髪をゆっくりはらって、ケーは笑った。
「夢の中でも、トゥルーも私も元気だったよ。ただね、面白い空間にいたけれど。」
「元気ならいいんだ。面白い空間て?」そうか、元気ならいいけど。僕はなんでそんなにアセっていたんだろう。
「なんだか、家の物が大きな空間だったよ。不思議な空間だったなぁ。」ケーは上目づかいで言った。
「そっか、大きな物ね~。」それより結論を出さなきゃ。
「そうると、ワンダリング先生に、話は受けます、って言ってもいいんだね?」僕は念を押すように言った。
「…、うん。大丈夫だよ!」ケーはハハって笑うけど、笑いは途中で消えていた。やっぱり。
「ケー、不安なら…。」僕を遮って、ケーが言った。
「不安だけど、ワンダリング先生ご指名なんでしょ?勝てなきゃ話は振らないよ、きっと。それでね、私は占いをしてみる。たぶん、精度は高いだろうから危ない結果なら、話は受けない。これでどう?」
「わかった。それなら、今日中に結論出せる?」僕はやはり、ケーの話を聞いても不安になるなぁ。
「うん、結果が解り次第、トゥルーに言うから。」ケーの答えを聞いているのと同時に学校の鐘が鳴った。
「了解。無理はしないでね。」僕はそそくさと教室の席に戻った。
僕は、授業の間、ずっとケーの事ばかり考えていた。もう何年の付き合いになるだろう。
なんで胸が騒ぐんだろう。そうだ!お父さんや母さんにも…、いや僕達だけで解決したいし。
僕は、ケーが近づいてこないので、僕もあえてそっとしておいた。占いの気が散るのも困るだろうし。
でも、イライラが募る。早く結果が出ないかな。他の友達とも話していても身が入らなかった。
キーンコーンカーンコーン。
やっと午前中の授業が終わり、お昼休みに入ったのだった。
「ケー、どうだい?占いの結果は。」僕は単刀直入に、ケーに訊いたのだった。
ケーは、周りを見て慌てて僕の口を手で塞ぐと、「ちょっとこっちに来て。」と教室の端に連れ出した。
窓から外を見ると、雪がちらついている。
落葉樹の多い学校の木は、すでに葉が落ちて棒のようにそびえ立っている。
「トゥルー!もう、そこら中に聞こえる声で言っちゃダメでしょう!」ケーはなんだかイライラしている?
「ケー、ひょっとして”あの日”なの?」口をすぼめて密やかに言う僕。やらしくないよな?
「そんな事に気を回さなくていいから!」また、もう!と鼻を鳴らしているケー。可愛いな。
「占いの結果を言うよ。」真面目な口調になるケー。
「うん。それで?」僕はわくわくしてきたな、何故だか。
「結果は『支部は潰せるだろう』だったよ。」ケーはそこはニンマリしている。
「よかった!…じゃ、なんでイライラしていたの?」僕は不思議な顔をしていたんだと思う。
「それがね。」ケーはまた周囲を伺うと、僕の体に隠れるようにして言った。
「もう一つ。『…、の状態になる』っていう結果が出たんだけど、前半部分が誰かにもぎ取られちゃって。」ケーは顔をしかめて言っていた。
僕は驚きを隠せなかった。占いの結果を半分もぎ取られた?誰に?
「誰にもぎ取られたって言うんだよ。学校に闇協会の奴がいるってことか?」
「その可能性、大アリだよ。どうしようか?」またケーはイライラした顔をしている。
「わかった。とりあえずはワンダリング先生に報告しよう。ケーも聞くでしょ?」ケーに承諾を得ると、すぐに人の少ない図書室に入ってワンダリング先生と心の通信を始めた。
物語の初めは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-01 ワンダリング先生との打ち合わせ]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-02 ケーとの話し合い]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-03 同じ日の夜、僕の家にて]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-04 打ち合わせとプラス宣戦布告]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-05 ワンダリング先生の渡してきた本]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-06 戦いの準備]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-07 闇協会の支部での戦い1]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-08 戦いその2]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-09 戦いの終わり、そして]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-10 調べてまわって]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-11 風変わりな依頼]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-12 新たな戦い]
物語の最後は、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-13 最後の戦い、そして]
バーチャル学校vol4-02ケーとの話し合い

作 林柚希
朝の1時限目の授業が終わると、早々にケーの下に駆け寄った。さっきの話はなるべく早く話した方がいいだろう。
「ケーちょっと話がある。ちょっとこっち来て。」僕は人のあまりいないところを選んで呼び寄せた。
「どうしたの?ちょっと痛いって。」ケーは僕に無理やり引っ張られて痛そうだ。
「ごめん、引っ張って。それでね、ワンダリング先生から言われたんだけどさ。」僕は、闇協会の支部の話を持ちだした。正直、考えれば考えるほど危ない気がしてしょうがない。
「…、そうなんだ。いいんじゃない?話を受けても。」ケーはのんびりしている。
「いや、そうはいかないだろう。支部ともなれば戦闘員が結構な数いるかもしれないよ。今までのようにはいかないよ。」
「大丈夫だよ。サポートを付けてくれるって話なんでしょう?それに…。」あくまでのんびりだ、ケーは。
「それに、何?」僕だけ焦っている。なんでこんなに焦るんだろう。僕は予知の能力なんてないのに。
「私は今朝、予知夢を見たんだ。」ケーはエヘ、を笑いながら続けた。
「予知夢で、闇協会の支部を一つ潰したぞ!って、バンザーイって喜んでいる夢だったよ。」他にも夢を見たけれどね、と続ける。
「そうなんだ。僕だけアセってバカみたいだ。…そっか。」僕は大丈夫なんだろうか。
「トゥルーは、なんだか心配性になってない?」僕の前髪をゆっくりはらって、ケーは笑った。
「夢の中でも、トゥルーも私も元気だったよ。ただね、面白い空間にいたけれど。」
「元気ならいいんだ。面白い空間て?」そうか、元気ならいいけど。僕はなんでそんなにアセっていたんだろう。
「なんだか、家の物が大きな空間だったよ。不思議な空間だったなぁ。」ケーは上目づかいで言った。
「そっか、大きな物ね~。」それより結論を出さなきゃ。
「そうると、ワンダリング先生に、話は受けます、って言ってもいいんだね?」僕は念を押すように言った。
「…、うん。大丈夫だよ!」ケーはハハって笑うけど、笑いは途中で消えていた。やっぱり。
「ケー、不安なら…。」僕を遮って、ケーが言った。
「不安だけど、ワンダリング先生ご指名なんでしょ?勝てなきゃ話は振らないよ、きっと。それでね、私は占いをしてみる。たぶん、精度は高いだろうから危ない結果なら、話は受けない。これでどう?」
「わかった。それなら、今日中に結論出せる?」僕はやはり、ケーの話を聞いても不安になるなぁ。
「うん、結果が解り次第、トゥルーに言うから。」ケーの答えを聞いているのと同時に学校の鐘が鳴った。
「了解。無理はしないでね。」僕はそそくさと教室の席に戻った。
僕は、授業の間、ずっとケーの事ばかり考えていた。もう何年の付き合いになるだろう。
なんで胸が騒ぐんだろう。そうだ!お父さんや母さんにも…、いや僕達だけで解決したいし。
僕は、ケーが近づいてこないので、僕もあえてそっとしておいた。占いの気が散るのも困るだろうし。
でも、イライラが募る。早く結果が出ないかな。他の友達とも話していても身が入らなかった。
キーンコーンカーンコーン。
やっと午前中の授業が終わり、お昼休みに入ったのだった。
「ケー、どうだい?占いの結果は。」僕は単刀直入に、ケーに訊いたのだった。
ケーは、周りを見て慌てて僕の口を手で塞ぐと、「ちょっとこっちに来て。」と教室の端に連れ出した。
窓から外を見ると、雪がちらついている。
落葉樹の多い学校の木は、すでに葉が落ちて棒のようにそびえ立っている。
「トゥルー!もう、そこら中に聞こえる声で言っちゃダメでしょう!」ケーはなんだかイライラしている?
「ケー、ひょっとして”あの日”なの?」口をすぼめて密やかに言う僕。やらしくないよな?
「そんな事に気を回さなくていいから!」また、もう!と鼻を鳴らしているケー。可愛いな。
「占いの結果を言うよ。」真面目な口調になるケー。
「うん。それで?」僕はわくわくしてきたな、何故だか。
「結果は『支部は潰せるだろう』だったよ。」ケーはそこはニンマリしている。
「よかった!…じゃ、なんでイライラしていたの?」僕は不思議な顔をしていたんだと思う。
「それがね。」ケーはまた周囲を伺うと、僕の体に隠れるようにして言った。
「もう一つ。『…、の状態になる』っていう結果が出たんだけど、前半部分が誰かにもぎ取られちゃって。」ケーは顔をしかめて言っていた。
僕は驚きを隠せなかった。占いの結果を半分もぎ取られた?誰に?
「誰にもぎ取られたって言うんだよ。学校に闇協会の奴がいるってことか?」
「その可能性、大アリだよ。どうしようか?」またケーはイライラした顔をしている。
「わかった。とりあえずはワンダリング先生に報告しよう。ケーも聞くでしょ?」ケーに承諾を得ると、すぐに人の少ない図書室に入ってワンダリング先生と心の通信を始めた。
物語の初めは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-01 ワンダリング先生との打ち合わせ]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-02 ケーとの話し合い]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-03 同じ日の夜、僕の家にて]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-04 打ち合わせとプラス宣戦布告]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-05 ワンダリング先生の渡してきた本]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-06 戦いの準備]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-07 闇協会の支部での戦い1]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-08 戦いその2]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-09 戦いの終わり、そして]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-10 調べてまわって]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-11 風変わりな依頼]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-12 新たな戦い]
物語の最後は、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-13 最後の戦い、そして]
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