詩、小説
オリジナルな詩と小説達
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Date:2026-02-07 17:56 Editer:Yuzuki Hayashi

作 林柚希
湖面に今日も風が吹いて、さざ波が立っている。
この湖から、一羽のトンビが飛んでいる。
トンビは、湖近くの木から飛び立ち、湖全体を眺めながら斜め上に飛んで行って、湖の中央を廻って飛んでいる。さぞかし、いい眺めだろう。
中央には小さな島があり、祠が立っている。祠は地元の少数民族が建てたものだ。わが民族の事だけれども。
私は、いつものように湖で釣りをし終わると、釣果を持って、家に戻ることにした。
朝餉は、魚とご飯と野菜にしよう。
鏡を見ると、あ、化粧が汗で落ちそうだ。
目の上と下に白い化粧を施す。
私たちの民族は男女問わず、そうした化粧を施すのだ。
施し終わると、朝餉の支度にとりかかることにした。
「おはよう。」
木で組んだテントの出入口の布をパラッとめくって、男性が一人、入ってきて言った。
「おはよう。」
私も挨拶を返すと、朝餉の支度の続きをしていた。
「野菜と肉を持ってきたよ。」彼がそう言うと、日本で言うところのちゃぶ台の前にどっかと座り、台に野菜と肉を置いた。
「ありがとう。今日も一緒に朝餉、食べていく?」
私がそういうと、彼はニッコリ笑って、「そうしていくか。」と独り言のように呟いた。
「そう。ちょっと待っててね。」
私もニッコリ笑うと朝餉の仕上げにとりかかった。
彼と朝餉を食べながら、様々な事を話し合った。主に生活に根ざしたほんの些細な事だけれども。ただ一つだけ奇妙なことをきいた。
「最近、祠に白い霧が立ち込めるんだよ。」
彼はそういうと、朝餉の終わりにお茶を飲んだ。
「そうなの?天変地異の前触れかしら。」
私も食べ終えたので、お茶を飲み始めた。
「いや、天気はいたっていいんだよ。そんなんじゃないな。」
彼は思い出しながら言うと、またお茶を飲む。
「じゃ、なんだろうね。私には見当もつかないよ。」
私も、お茶を口に含む。香りが良いし、味も良いお茶だ。
「双葉、とりあえず動物に聞いてくれないか?」
彼はそういうとお茶のおかわりを言った。双葉とは私の事だ。
「いいよ、高雪はどうする?」
私は、ポットからお茶をそそぐと彼に渡した。高雪は目の前の彼のことだ。
「そうだね、長老にでも話を訊いてみるよ。」
私の差し出したお茶を取ると彼はぐいっと飲み干した。
「それじゃ、ごちそうさん。」
私達は食べ終わると、それぞれ別れた。
私自身は、朝餉の片付けが終わると、家の裏の森に行き、森の中に入った。
「おーい。チコリー。いる~?」
私は動物と話をすることができる。そして動物には仲良しがいた。どのくらいってきかないでね、内緒だから。
「いるよ~。」
木々からサッサッと影が横切ると、ぱっと広げて小さな動物が、肩にやってきた。モモンガのチコリだ。
「なぁに?」
チコリは、大きな目を私に向けて話しかけた。
「訊きたいことがあるの。最近、湖の祠でね…。」
私から、小さな異変を訊くと、チコリは答えた。
「そうだね、湖の中で異変が起きている、って噂を聞いたよ。」
チコリが知っているのはそこまでのようだ。お礼に野菜のちぎったものを手渡すと、チコリはそれを口にくわえて去っていった。
私は他の動物にも呼びかけて、訊いてみたけれど、皆同じことを言うだけで他の話は特になかった。
私は森から出て、家に戻った。
家に戻ると、私は支度をして、家を出た。近所の家々を訪ねて子守が要らないか、聞いて回った。安いが賃金を稼ぐためだった。また、余った食材を分けてもらえることもあった。
そしてとある一軒の家で子守をしていて、高雪の言っていた祠の異変を知っている少年がいた。
「君は、祠に行ったことがあるのかい?」
私は少年、海(かい)に訊いた。
「祠の中に行ったことはないよ。禁止されているからね。近くから見ただけだよ。」
少年はそういうと、私の釣った魚を焼いたものにガブリと齧りついた。
「僕が見たものは、霧のようだった。さぁ~っと霧がかって、祠だけが見えずらくなったよ。祠だけだったから変だと思って。」
また齧りついた。
「そうなの?その時、湖はなんともなかったのね?」
私は再度訊いた。
「そうだよ。湖はなぎもせずに、綺麗だったよ。」
海少年は、そう言うと、口が乾いたと言ってお茶を貰いに行ってしまった。
大した情報は得られなかったな。
私は少量のお金とお野菜を分けてもらうと、家に帰ったのだった。
物語の初めは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-1]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-2]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-3]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-1]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-2]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-3]
湖面の霧vol1-1

作 林柚希
湖面に今日も風が吹いて、さざ波が立っている。
この湖から、一羽のトンビが飛んでいる。
トンビは、湖近くの木から飛び立ち、湖全体を眺めながら斜め上に飛んで行って、湖の中央を廻って飛んでいる。さぞかし、いい眺めだろう。
中央には小さな島があり、祠が立っている。祠は地元の少数民族が建てたものだ。わが民族の事だけれども。
私は、いつものように湖で釣りをし終わると、釣果を持って、家に戻ることにした。
朝餉は、魚とご飯と野菜にしよう。
鏡を見ると、あ、化粧が汗で落ちそうだ。
目の上と下に白い化粧を施す。
私たちの民族は男女問わず、そうした化粧を施すのだ。
施し終わると、朝餉の支度にとりかかることにした。
「おはよう。」
木で組んだテントの出入口の布をパラッとめくって、男性が一人、入ってきて言った。
「おはよう。」
私も挨拶を返すと、朝餉の支度の続きをしていた。
「野菜と肉を持ってきたよ。」彼がそう言うと、日本で言うところのちゃぶ台の前にどっかと座り、台に野菜と肉を置いた。
「ありがとう。今日も一緒に朝餉、食べていく?」
私がそういうと、彼はニッコリ笑って、「そうしていくか。」と独り言のように呟いた。
「そう。ちょっと待っててね。」
私もニッコリ笑うと朝餉の仕上げにとりかかった。
彼と朝餉を食べながら、様々な事を話し合った。主に生活に根ざしたほんの些細な事だけれども。ただ一つだけ奇妙なことをきいた。
「最近、祠に白い霧が立ち込めるんだよ。」
彼はそういうと、朝餉の終わりにお茶を飲んだ。
「そうなの?天変地異の前触れかしら。」
私も食べ終えたので、お茶を飲み始めた。
「いや、天気はいたっていいんだよ。そんなんじゃないな。」
彼は思い出しながら言うと、またお茶を飲む。
「じゃ、なんだろうね。私には見当もつかないよ。」
私も、お茶を口に含む。香りが良いし、味も良いお茶だ。
「双葉、とりあえず動物に聞いてくれないか?」
彼はそういうとお茶のおかわりを言った。双葉とは私の事だ。
「いいよ、高雪はどうする?」
私は、ポットからお茶をそそぐと彼に渡した。高雪は目の前の彼のことだ。
「そうだね、長老にでも話を訊いてみるよ。」
私の差し出したお茶を取ると彼はぐいっと飲み干した。
「それじゃ、ごちそうさん。」
私達は食べ終わると、それぞれ別れた。
私自身は、朝餉の片付けが終わると、家の裏の森に行き、森の中に入った。
「おーい。チコリー。いる~?」
私は動物と話をすることができる。そして動物には仲良しがいた。どのくらいってきかないでね、内緒だから。
「いるよ~。」
木々からサッサッと影が横切ると、ぱっと広げて小さな動物が、肩にやってきた。モモンガのチコリだ。
「なぁに?」
チコリは、大きな目を私に向けて話しかけた。
「訊きたいことがあるの。最近、湖の祠でね…。」
私から、小さな異変を訊くと、チコリは答えた。
「そうだね、湖の中で異変が起きている、って噂を聞いたよ。」
チコリが知っているのはそこまでのようだ。お礼に野菜のちぎったものを手渡すと、チコリはそれを口にくわえて去っていった。
私は他の動物にも呼びかけて、訊いてみたけれど、皆同じことを言うだけで他の話は特になかった。
私は森から出て、家に戻った。
家に戻ると、私は支度をして、家を出た。近所の家々を訪ねて子守が要らないか、聞いて回った。安いが賃金を稼ぐためだった。また、余った食材を分けてもらえることもあった。
そしてとある一軒の家で子守をしていて、高雪の言っていた祠の異変を知っている少年がいた。
「君は、祠に行ったことがあるのかい?」
私は少年、海(かい)に訊いた。
「祠の中に行ったことはないよ。禁止されているからね。近くから見ただけだよ。」
少年はそういうと、私の釣った魚を焼いたものにガブリと齧りついた。
「僕が見たものは、霧のようだった。さぁ~っと霧がかって、祠だけが見えずらくなったよ。祠だけだったから変だと思って。」
また齧りついた。
「そうなの?その時、湖はなんともなかったのね?」
私は再度訊いた。
「そうだよ。湖はなぎもせずに、綺麗だったよ。」
海少年は、そう言うと、口が乾いたと言ってお茶を貰いに行ってしまった。
大した情報は得られなかったな。
私は少量のお金とお野菜を分けてもらうと、家に帰ったのだった。
物語の初めは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-1]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-2]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol1-3]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-1]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-2]
物語の続きは、こちらになります。
[湖面の霧 vol2-3]
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