詩、小説
オリジナルな詩と小説達
| 日 sun | 月 mon | 火 tue | 水 wed | 木 thu | 金 fri | 土 sat |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
| 29 | 30 | 31 |
Date:2026-03-16 17:43 Editer:Yuzuki Hayashi

作 林柚希
僕、内緒なんだけど、悪魔なんだ。
世間で悪魔っていうと、供物を捧げて怪しげな儀式をするけれど、本当はもっとビジネスライクなんだよ。
格好も、普通のサラリーマンと変わらないしね。
今日も呼び出されて、出張してみると、普通の人間の奥さんだった。
奥さんに、名刺を差し出して挨拶をする。
奥さんは、半ば疑っているらしく、渋く目線を細めて名刺と僕を交互に見ている。
「はじめまして、僕、悪魔です。」
「あなた、本当に悪魔なの?普通のサラリーマンみたいだけど。」
「本当に悪魔ですよ。ところで、どんな取引ですか?」
「まぁ、ホントかしらね。ウチの旦那と浮気相手を呪って欲しいのよ。」
「旦那さんの浮気ですか。」
「そうなのよ。物凄く頭にきてるのよ!」
「はあ。」
「じゃ、ギブアンドテイクで、こちらからも要求します。」
「取り敢えず、鶏肉か牛肉で料理を五品くらい作って下さい。」
「料理!?魂とかじゃないの?」
「そういう場合もままありますけど、それは相手を殺すような場合ですね。ちなみにあなたの魂になりますからね。」
「怖いわね。わかった。料理なら作れるわよ。いつにしたらいいかしらね。」
「今から、お願いします。」
「いいわよ。旦那も今なら会社に行っているから。」
「因みに旦那さんとは、今後も一緒にいるつもりなんですか?」
「旦那は、もう愛想がつきてるの。別れるつもりだから、好きに呪ってくれて構わないわよ。」
「了解しました。では、料理の方をお願いします。」
「わかったわよ。材料が足りないから、買物に行って来るわね。」
エプロンを取ると、コートを着て外出していった。
さて、調査しないと。
まず、リビングの写真立ての一群を見る。
結婚式の写真が、飾ってある。
旦那さんと見られる男性が、タキシードを着て、さっきの奥さんと一緒に写っている。
なかなかのイケメンだ。
奥さん面食いなのかな。ま、いいや。
次にカレンダーを見る。
やたらと出張が多いのがわかる。
しかも、土日に。
写真の顔を思い浮かべながら、カレンダーの出張の日を千里眼で見てみる。
奥さんが寝ている夜明けから、顔も会わせず外出して、別の女性と待ち合わせて、旅行している。
その女性との会話で、旦那さんは、重役のポストが欲しくて奥さんと結婚したけど、そりがあわないし、相手もしてもらえない、と同情を買っているようだ。
アヴァンチュールを思い切り楽しんでいるようだな。
同時に、陰で泣いている奥さんの顔も視ていた。
コイツ、懲らしめてやろう。
その時、カチャカチャ音がして、奥さんが帰ってきた。
「あ、ただいま。」
「おかえりなさい。旦那さんの事は、大体わかりましたよ。」
「そう。どうしようもないヤツでしょ。」
「そうですね。」
「これから料理、作るわね。」
「お願いしますね。」
僕は、リビングで椅子に座って水晶を取り出すと、旦那さんの様子を見た。
会社で会議中のようだ。
浮気相手も、同じ部署にいるようだ。
さて、どうしたものか。
考えていると、料理の数々が運ばれてきた。
「作り過ぎたかしらね?」と、いいながら。
いい香りがリビングに広がる。
7品くらいあるだろうか。
「これ、全部食べていいんですか?」
「どうぞ。張り切って作ったの、久しぶりなんだけど、大丈夫かしらね。」
「いただきます!」
早速、ビーフカレーから頂く。
ん!なかなか上手い。
「なかなか美味しいですよ。奥さん。」
手早く食べて、お腹いっぱいになると、早速呪うのを、開始した。
奥さんも座って、興味深げに見ている。
水晶を取り出すと、旦那さんを覗きこむ。
丁度、パソコンで浮気相手にメールを打っているようだ。
よし、フンっと念を送ると、旦那さんを操ってメールに小細工した。
メールを送り終ると、結果が待ち遠しくてウキウキしてきた。
直ぐに、蒼白になった浮気相手がやって来た。
「ちょっとご相談が。」
「どうぞ。」旦那さんは、ニコニコしている。
「ここでは、ちょっと。」
「では、別の場所で。」
空いた会議室に二人共に行くと、開口一番で浮気相手が言ってきた。
「あなた、何をしてくれるんですか!?」
「どういう事かな?」
「あなたのメール、社内全部に送られてますよ!さっきのメール!!」
「え!?」
旦那のメールのBCC欄に全員に同時にメールを送信するアドレスを入れてやったのだった。
全社員への送信アドレスは、大抵一つ会社で用意されている。
だから、旦那がメールを送信したと同時に、一斉に全社員にメールが送られている。
「平社員から、社長まで、全員に浮気がバレたんですよ!」
「そんな…。」
やっと事態が飲み込めたらしく、旦那さんも蒼白になっている。
「あなたね、私はもうこの会社に居られなくなったんですよ!わざとですか!」
「そんな事ないよ。まさか、そんな失態を…。」
バシンと頬を叩くと、「さよなら!」と言って浮気相手は、去って行った。
茫然となって、デスクに戻ると、社長から呼び出しがあったそうだ。
もう、終わりだな。
旦那さんは、そう思って、社長室へ行ったようだ。
ドアを叩くと、社長室から「入りたまえ。」
恐る恐る入ると、社長は心なしか赤い顔をしている。
「社長、この度は…。」と、言いかけたら、社長は。
「なにかね、君は、私の娘が好きじゃないのかね。」
「いや、私はその…。」
「君に目をかけた私が馬鹿だったよ。」
「君の浮気は、一度や二度じゃあるまい?」
「それは…。」
「もう、いい。顔も見たくない。即刻、首だ!」
「社長、待ってください。」
「まだ、言う事があるかね。君は、私の顔にも泥を塗ったんだぞ!」
「ひえっ…。すみません。」
「出ていけ!」
「はっ、はい。」
「それからな、娘とは離婚させるから。そのつもりでいろっ!」
「はい…。」
事のあらましを、奥さんに説明すると、早速奥さんに電話がかかってきた。
社長である、お父さんからだ。
浮気が社内で明るみになった事を、とてもすまなそうに話して、離婚するように言ってきた。
奥さんは、努めて明るくそうするわね、と返事をして電話を切った。
僕は、ちょっと心配になってきた。
「大丈夫、ですか?」
「大丈夫、覚悟はしていたから。」
「でも、涙が…。」
「あら、私ったら、やだわね。」
涙を拭うと、ふぅっと息をついて。
「さて、ドアの鍵でも変えましょうか。」
「切り替え早いですね。」
「そうかしら?」
小首をかしげて、小さく笑う奥さんは、ちょっと可愛かった。
いけない、いけない。ビジネス、ビジネス。
「では、契約も成立した事ですし、僕は、帰りますね。」
「ありがとうね。おかげでスカっとしたわ。」
「それでは、さようなら。」
「お疲れさま。さようなら。」
僕は、奥さんの家をあとにした。
物語の初めは、こちらになります。
[悪魔の話 vol1]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol2]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol3]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol4]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol5]
悪魔の話 vol.1

作 林柚希
僕、内緒なんだけど、悪魔なんだ。
世間で悪魔っていうと、供物を捧げて怪しげな儀式をするけれど、本当はもっとビジネスライクなんだよ。
格好も、普通のサラリーマンと変わらないしね。
今日も呼び出されて、出張してみると、普通の人間の奥さんだった。
奥さんに、名刺を差し出して挨拶をする。
奥さんは、半ば疑っているらしく、渋く目線を細めて名刺と僕を交互に見ている。
「はじめまして、僕、悪魔です。」
「あなた、本当に悪魔なの?普通のサラリーマンみたいだけど。」
「本当に悪魔ですよ。ところで、どんな取引ですか?」
「まぁ、ホントかしらね。ウチの旦那と浮気相手を呪って欲しいのよ。」
「旦那さんの浮気ですか。」
「そうなのよ。物凄く頭にきてるのよ!」
「はあ。」
「じゃ、ギブアンドテイクで、こちらからも要求します。」
「取り敢えず、鶏肉か牛肉で料理を五品くらい作って下さい。」
「料理!?魂とかじゃないの?」
「そういう場合もままありますけど、それは相手を殺すような場合ですね。ちなみにあなたの魂になりますからね。」
「怖いわね。わかった。料理なら作れるわよ。いつにしたらいいかしらね。」
「今から、お願いします。」
「いいわよ。旦那も今なら会社に行っているから。」
「因みに旦那さんとは、今後も一緒にいるつもりなんですか?」
「旦那は、もう愛想がつきてるの。別れるつもりだから、好きに呪ってくれて構わないわよ。」
「了解しました。では、料理の方をお願いします。」
「わかったわよ。材料が足りないから、買物に行って来るわね。」
エプロンを取ると、コートを着て外出していった。
さて、調査しないと。
まず、リビングの写真立ての一群を見る。
結婚式の写真が、飾ってある。
旦那さんと見られる男性が、タキシードを着て、さっきの奥さんと一緒に写っている。
なかなかのイケメンだ。
奥さん面食いなのかな。ま、いいや。
次にカレンダーを見る。
やたらと出張が多いのがわかる。
しかも、土日に。
写真の顔を思い浮かべながら、カレンダーの出張の日を千里眼で見てみる。
奥さんが寝ている夜明けから、顔も会わせず外出して、別の女性と待ち合わせて、旅行している。
その女性との会話で、旦那さんは、重役のポストが欲しくて奥さんと結婚したけど、そりがあわないし、相手もしてもらえない、と同情を買っているようだ。
アヴァンチュールを思い切り楽しんでいるようだな。
同時に、陰で泣いている奥さんの顔も視ていた。
コイツ、懲らしめてやろう。
その時、カチャカチャ音がして、奥さんが帰ってきた。
「あ、ただいま。」
「おかえりなさい。旦那さんの事は、大体わかりましたよ。」
「そう。どうしようもないヤツでしょ。」
「そうですね。」
「これから料理、作るわね。」
「お願いしますね。」
僕は、リビングで椅子に座って水晶を取り出すと、旦那さんの様子を見た。
会社で会議中のようだ。
浮気相手も、同じ部署にいるようだ。
さて、どうしたものか。
考えていると、料理の数々が運ばれてきた。
「作り過ぎたかしらね?」と、いいながら。
いい香りがリビングに広がる。
7品くらいあるだろうか。
「これ、全部食べていいんですか?」
「どうぞ。張り切って作ったの、久しぶりなんだけど、大丈夫かしらね。」
「いただきます!」
早速、ビーフカレーから頂く。
ん!なかなか上手い。
「なかなか美味しいですよ。奥さん。」
手早く食べて、お腹いっぱいになると、早速呪うのを、開始した。
奥さんも座って、興味深げに見ている。
水晶を取り出すと、旦那さんを覗きこむ。
丁度、パソコンで浮気相手にメールを打っているようだ。
よし、フンっと念を送ると、旦那さんを操ってメールに小細工した。
メールを送り終ると、結果が待ち遠しくてウキウキしてきた。
直ぐに、蒼白になった浮気相手がやって来た。
「ちょっとご相談が。」
「どうぞ。」旦那さんは、ニコニコしている。
「ここでは、ちょっと。」
「では、別の場所で。」
空いた会議室に二人共に行くと、開口一番で浮気相手が言ってきた。
「あなた、何をしてくれるんですか!?」
「どういう事かな?」
「あなたのメール、社内全部に送られてますよ!さっきのメール!!」
「え!?」
旦那のメールのBCC欄に全員に同時にメールを送信するアドレスを入れてやったのだった。
全社員への送信アドレスは、大抵一つ会社で用意されている。
だから、旦那がメールを送信したと同時に、一斉に全社員にメールが送られている。
「平社員から、社長まで、全員に浮気がバレたんですよ!」
「そんな…。」
やっと事態が飲み込めたらしく、旦那さんも蒼白になっている。
「あなたね、私はもうこの会社に居られなくなったんですよ!わざとですか!」
「そんな事ないよ。まさか、そんな失態を…。」
バシンと頬を叩くと、「さよなら!」と言って浮気相手は、去って行った。
茫然となって、デスクに戻ると、社長から呼び出しがあったそうだ。
もう、終わりだな。
旦那さんは、そう思って、社長室へ行ったようだ。
ドアを叩くと、社長室から「入りたまえ。」
恐る恐る入ると、社長は心なしか赤い顔をしている。
「社長、この度は…。」と、言いかけたら、社長は。
「なにかね、君は、私の娘が好きじゃないのかね。」
「いや、私はその…。」
「君に目をかけた私が馬鹿だったよ。」
「君の浮気は、一度や二度じゃあるまい?」
「それは…。」
「もう、いい。顔も見たくない。即刻、首だ!」
「社長、待ってください。」
「まだ、言う事があるかね。君は、私の顔にも泥を塗ったんだぞ!」
「ひえっ…。すみません。」
「出ていけ!」
「はっ、はい。」
「それからな、娘とは離婚させるから。そのつもりでいろっ!」
「はい…。」
事のあらましを、奥さんに説明すると、早速奥さんに電話がかかってきた。
社長である、お父さんからだ。
浮気が社内で明るみになった事を、とてもすまなそうに話して、離婚するように言ってきた。
奥さんは、努めて明るくそうするわね、と返事をして電話を切った。
僕は、ちょっと心配になってきた。
「大丈夫、ですか?」
「大丈夫、覚悟はしていたから。」
「でも、涙が…。」
「あら、私ったら、やだわね。」
涙を拭うと、ふぅっと息をついて。
「さて、ドアの鍵でも変えましょうか。」
「切り替え早いですね。」
「そうかしら?」
小首をかしげて、小さく笑う奥さんは、ちょっと可愛かった。
いけない、いけない。ビジネス、ビジネス。
「では、契約も成立した事ですし、僕は、帰りますね。」
「ありがとうね。おかげでスカっとしたわ。」
「それでは、さようなら。」
「お疲れさま。さようなら。」
僕は、奥さんの家をあとにした。
物語の初めは、こちらになります。
[悪魔の話 vol1]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol2]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol3]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol4]
物語の続きは、こちらになります。
[悪魔の話 vol5]
|
Print
Twitter
short URL
いいね:20 |

