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●詩、小説●
2024-12-28 05:29:18バーチャル学校vol3 14
作 林柚希
建物の外に出ると、轟音と共に建物は崩れ落ちていったのだった。
「危なかったわねー。」ケーとアメリアが同時に言うと、にこっとお互い笑った。意外だな、二人は仲が悪いのかと思った。勇気を出して、そう言うと二人そろってそんなことないわよ、と言いあってまた笑った。
「そうそう、皆に報告があるんだけど。」アメリアが言い出したので、内心皆ドキッとした。
「なぁに?」何気なく、僕が訊くと、アメリアは言った。
「私にね、トカゲが憑りついていたみたい。」手のひらに、小さなトカゲの死体を皆に見せた。
ケーは、それを見てゲッといっていたけれど、ジョンは、それよりもかなり心配していたようだ。まぁ、僕はあまり関わらなくていいんだけど、ってスタンスだ。アメリアの熱視線に困っていたからだ。
「私はね、トゥルーに横恋慕していたけれど、それはトカゲのせいだったようよ。」アメリアが爆弾発言をした。
ケーが驚き、ジョンと僕ははホッとした。
「じゃ、今はどうなの?」ケーに恋バナをせっつかれて、アメリアは、今?今はジョンかな、と堂々と言い放った。
これには僕とジョンもビックリして、ジョンが「そんな話はコッソリしてよ。」とたしなめた。
「そうね。後でコッソリしましょ?」アメリアはジョンににっこり微笑むと、ジョンもまんざらでもなさそうだ。
海の民の村まで戻ってくると、ジョンとアメリアと名残惜しい最後の会話になった。
「今までありがとう。」僕が言った。
「今まで迷惑かけてごめんね。」アメリアはウインクして僕に言った。
「それは、僕にしてよ?」ジョンがアメリアに言った。
「そうね。」アメリアはジョンにもウインクした。
「あなたは、正直に言いなさいよ?」アメリアはケーにも言った。なんだろう、正直って?
「わかってる。あなたには脱帽だわ。」ケーがアメリアに言った。
「末永く仲良くね!」僕がアメリアとジョンに言った。ケーもそうそうと言った。
「私の予言は当たったかしら?」ケーはアメリアとジョンにウインクした。
「当たったようよ。」アメリアはちょっと恥ずかしそうに言った。
「ありがとう。」ジョンもケーと僕に言ってきた。あまり語らない奴だけどいい奴だと思った。
僕とジョンは手を組んで肩を叩き合った。
「じゃあな!」皆でさよならをした。
そうして、海の民の村を離れて、海を二人きりで歩いた。なんだか気まずい。なんでだろう。
「ねぇ!」ケーがまず口にした。ドキッとした。
「なに?」僕は何気ない調子をなるべくだして言った。
「アメリアのこと、どう思ったの?」ケーがじっとこちらを見つめている。
「アメリア?いい奴だけど、それだけだよ。」僕はなんだかドキドキしてきた。
「ほんとに、それだけ?」ケーはどうしちゃったんだろう。それは僕もだけど。
「うん、それだけ。じゃ、ジョンはどう思った?」僕もこのままじゃ悔しいので返してみる。
「ジョン?ああ、いい人だよね。それだけだよ。」ケーも思い出しながらにっこり言った。
「じゃさ、私のことどう思う?」ケーが言ってきた。僕は…。
「ケー?…だ、大好きだよ。うん。」僕はなぜだかうんうん頷いている。
「そうなの?私も大好き!」ケーは嬉しそうに、やはり頷いている。
「そ、そうなの?」僕は、ドキドキが大きくなってしょうがない。
「それでね?それは、友達としてなの?」ケーは今日は追及してくるなぁ。でも!
「ぼ、僕は、友達より踏み込んでいいのかい?」思わず質問してしまった。しまったなぁ。
「もう!質問してくるなんて!いいに決まってるでしょ!」ケーは思わずにじり寄って来た。するとそのはずみで木のステッキを振ってしまった。
きゃっ、というケーに驚いて、どうした!、と僕が思わず一歩踏み出たら。
僕のくちびるがケーのくちびるに出会ってしまった!
ぼ、僕のファーストキス…。柔らかいなぁ、ケーのくちびる。
びっくりしたけれど、僕はケーを抱きしめて、ちゃんとキスしなおしたのだった。
そして海から出て海岸にいると、そこは夕日が傾いた時間だった。
驚き続きで、そこには旅館のメアリーさんが出迎えに来ていた。
「メアリーさんですよね?」ケーが言った。
「そうですよ。二人ともよく頑張りましたね~。」メアリーは労うように言った。
「ありがとうございます。」二人とも、ペコリとメアリーにお辞儀をした。
「ポセイドンモドキはどうしたのかしら。」メアリーは答えはわかっているけど、という顔をして言った。
「見事にやっつけましたよ!」僕がメアリーに色々と報告をした。
「そうなの。それでね、閉鎖された空間でなくなったのよ。だからね、電話が通じたのよ!」とても嬉しそうにメアリーはまた言った。
「あなた方の学校からね、連絡が来たのよ。だからね、あなた方の名前を言って預かっていると、こう答えたの。」
「そうですか。僕達は学校に帰りますね。」僕は答えた。
「そうだね、また遊びに来てね。いつでも歓迎するから。」メアリーはにこにこしている。
「お世話になりました。」僕達は、メアリーにそう言うとお辞儀をもう一度した。そして、メアリーからもらった地図を頼りに学校に帰っていったのだった。
今回の作品は、「水の中の世界」に挑戦してみました。
その中で、主人公やヒロイン達に思春期の気持ちを乗せてみましたがいかがでしたでしょうか。
今回はなかなかの難産でした。
バーチャル学校のvol.1に比べたら私も登場人物達も成長できたかな~と思っております。
あなたが、最後まで通して読んで楽しめたのなら私は幸いです。
最後に、どうもありがとうございました。
林柚希
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-09
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-10
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-11
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-12
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-13
物語の最後は、こちらになります。
バーチャル学校vol3-14
建物の外に出ると、轟音と共に建物は崩れ落ちていったのだった。
「危なかったわねー。」ケーとアメリアが同時に言うと、にこっとお互い笑った。意外だな、二人は仲が悪いのかと思った。勇気を出して、そう言うと二人そろってそんなことないわよ、と言いあってまた笑った。
「そうそう、皆に報告があるんだけど。」アメリアが言い出したので、内心皆ドキッとした。
「なぁに?」何気なく、僕が訊くと、アメリアは言った。
「私にね、トカゲが憑りついていたみたい。」手のひらに、小さなトカゲの死体を皆に見せた。
ケーは、それを見てゲッといっていたけれど、ジョンは、それよりもかなり心配していたようだ。まぁ、僕はあまり関わらなくていいんだけど、ってスタンスだ。アメリアの熱視線に困っていたからだ。
「私はね、トゥルーに横恋慕していたけれど、それはトカゲのせいだったようよ。」アメリアが爆弾発言をした。
ケーが驚き、ジョンと僕ははホッとした。
「じゃ、今はどうなの?」ケーに恋バナをせっつかれて、アメリアは、今?今はジョンかな、と堂々と言い放った。
これには僕とジョンもビックリして、ジョンが「そんな話はコッソリしてよ。」とたしなめた。
「そうね。後でコッソリしましょ?」アメリアはジョンににっこり微笑むと、ジョンもまんざらでもなさそうだ。
海の民の村まで戻ってくると、ジョンとアメリアと名残惜しい最後の会話になった。
「今までありがとう。」僕が言った。
「今まで迷惑かけてごめんね。」アメリアはウインクして僕に言った。
「それは、僕にしてよ?」ジョンがアメリアに言った。
「そうね。」アメリアはジョンにもウインクした。
「あなたは、正直に言いなさいよ?」アメリアはケーにも言った。なんだろう、正直って?
「わかってる。あなたには脱帽だわ。」ケーがアメリアに言った。
「末永く仲良くね!」僕がアメリアとジョンに言った。ケーもそうそうと言った。
「私の予言は当たったかしら?」ケーはアメリアとジョンにウインクした。
「当たったようよ。」アメリアはちょっと恥ずかしそうに言った。
「ありがとう。」ジョンもケーと僕に言ってきた。あまり語らない奴だけどいい奴だと思った。
僕とジョンは手を組んで肩を叩き合った。
「じゃあな!」皆でさよならをした。
そうして、海の民の村を離れて、海を二人きりで歩いた。なんだか気まずい。なんでだろう。
「ねぇ!」ケーがまず口にした。ドキッとした。
「なに?」僕は何気ない調子をなるべくだして言った。
「アメリアのこと、どう思ったの?」ケーがじっとこちらを見つめている。
「アメリア?いい奴だけど、それだけだよ。」僕はなんだかドキドキしてきた。
「ほんとに、それだけ?」ケーはどうしちゃったんだろう。それは僕もだけど。
「うん、それだけ。じゃ、ジョンはどう思った?」僕もこのままじゃ悔しいので返してみる。
「ジョン?ああ、いい人だよね。それだけだよ。」ケーも思い出しながらにっこり言った。
「じゃさ、私のことどう思う?」ケーが言ってきた。僕は…。
「ケー?…だ、大好きだよ。うん。」僕はなぜだかうんうん頷いている。
「そうなの?私も大好き!」ケーは嬉しそうに、やはり頷いている。
「そ、そうなの?」僕は、ドキドキが大きくなってしょうがない。
「それでね?それは、友達としてなの?」ケーは今日は追及してくるなぁ。でも!
「ぼ、僕は、友達より踏み込んでいいのかい?」思わず質問してしまった。しまったなぁ。
「もう!質問してくるなんて!いいに決まってるでしょ!」ケーは思わずにじり寄って来た。するとそのはずみで木のステッキを振ってしまった。
きゃっ、というケーに驚いて、どうした!、と僕が思わず一歩踏み出たら。
僕のくちびるがケーのくちびるに出会ってしまった!
ぼ、僕のファーストキス…。柔らかいなぁ、ケーのくちびる。
びっくりしたけれど、僕はケーを抱きしめて、ちゃんとキスしなおしたのだった。
そして海から出て海岸にいると、そこは夕日が傾いた時間だった。
驚き続きで、そこには旅館のメアリーさんが出迎えに来ていた。
「メアリーさんですよね?」ケーが言った。
「そうですよ。二人ともよく頑張りましたね~。」メアリーは労うように言った。
「ありがとうございます。」二人とも、ペコリとメアリーにお辞儀をした。
「ポセイドンモドキはどうしたのかしら。」メアリーは答えはわかっているけど、という顔をして言った。
「見事にやっつけましたよ!」僕がメアリーに色々と報告をした。
「そうなの。それでね、閉鎖された空間でなくなったのよ。だからね、電話が通じたのよ!」とても嬉しそうにメアリーはまた言った。
「あなた方の学校からね、連絡が来たのよ。だからね、あなた方の名前を言って預かっていると、こう答えたの。」
「そうですか。僕達は学校に帰りますね。」僕は答えた。
「そうだね、また遊びに来てね。いつでも歓迎するから。」メアリーはにこにこしている。
「お世話になりました。」僕達は、メアリーにそう言うとお辞儀をもう一度した。そして、メアリーからもらった地図を頼りに学校に帰っていったのだった。
今回の作品は、「水の中の世界」に挑戦してみました。
その中で、主人公やヒロイン達に思春期の気持ちを乗せてみましたがいかがでしたでしょうか。
今回はなかなかの難産でした。
バーチャル学校のvol.1に比べたら私も登場人物達も成長できたかな~と思っております。
あなたが、最後まで通して読んで楽しめたのなら私は幸いです。
最後に、どうもありがとうございました。
林柚希
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-09
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-10
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-11
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-12
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-13
物語の最後は、こちらになります。
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