ブログで趣味でプログラミングからお料理まで呟いています。よろしくー。(^-^)/


先月  2024年 5月  来月



1 2 3 4
56 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 2223 2425
262728293031

文字サイズ変更:
トップページ > 詩、小説

●詩、小説●

2024-05-31 03:18:32

バーチャル学校vol1 08

作 林柚希

「ただいまー!」今日は、元気に家に帰ってこれた。
バタン。
靴を脱ぐと、もう、窮屈な服を脱いで、部屋着に着替えたくなる。
「母さん?」ベランダに顔を出してみる。
「ああ、帰ったのね。」母さんは気づいたようだ。
「おかえり。」こっちを見てニッコリ微笑んでいる。
「母さん、ワンダリング先生が今日…」と言いかけたら、
「ああ、ワンダリング先生家に来るのね。わかったわよ。」
お母さんは、またニッコリして、「お父さんにも言っておくわね。」
「うん。」僕は頷くと部屋に戻った。

椅子に座ってしばらく、あーでもない、こーでもないと考え事をした後、ふと思いついて。
かばんからゴソゴソと本を取り出す。
学校の宿題やら、ノートやらに挟まって、あの本がある。
『魔法の書 中級編』だ。
するとお母さんから、声がかけられた。
(トゥルー、本を開けなさい。それでね。まず声の伝え方を勉強しなさいよ。)
僕は、その音にない声にびっくりして、椅子から転げ落ちそうになった。
「母さん、びっくりするよ!」僕は思わず喚いた。
(いいから、大丈夫。これになれるからね。大丈夫よ。)
「う、うん、わかった。」返事をするとまず、本の表紙を見る。
そこには、小さく文字が書かれている。ん?逆さ文字?
じゃあ、と小さな鏡を取り出して、鏡越しに文字を見る。…ん~みづらいなぁ。
「本よ、開きなさい…?」本からボン!と、音がして、本が開いた。
「ホッ。開いた。」僕は心からホッとした。
本の1ページ目を見ると、「君には魔法使いの才能がある!心したまえ!…。」と続いている。
目次を見ると、様々な魔法の説明と実践方法が並んでいる。
僕にできるだろうか…?頑張るぞ!
「よしっ!」気合を入れな直して本を見る。
まず、母さんの言っていた『心の通信方法』から実践することにした。
まず、説明を読んだ後、コップに水を汲んできて、机の上に置いた。
ゆっくりと息を吸い、心で(波紋)と念じてみる。
最初は何も起きなかったけど、一旦力んでいた肩から力を抜いて、
また念じてみる。…すると。
コップの水が徐々に揺れ。中央から外に向けて波紋が起きた…!
「やったぞ!」よし。次は他の魔法使いに念じてみなさい、とある。
(母さん、母さん、聞こえる?僕トゥルーだよ。)
母さん、気づかないかな?焦るな、焦るな。
(母さん、トゥルーだよ。お願いします。聞こえますように。)
思わず祈りの形になる。
(…?トゥルー?)母さんだ!!
(母さん、トゥルーだよ。聞こえる?)思わず拳を握りしめる。
(聞こえるわよ。わりとすんなりできたのね。すごいわね~。)きっとニッコリしているだろう。
(結構すんなりかな?わかんないや。母さん、この通信はケーにしちゃダメ?)心に浮かんだ疑問を口にする。
(そうね、彼女は魔法使いじゃないからね。でも、本に『魔法使い以外の対象に話しかける場合』があるでしょう?)
本に、目を落とすと確かにある。
(あったよ。そのやり方を実践してみるね。)僕はやる気だ。
(そうね、トゥルー、頑張ってね。)
(うん、頑張るよ!)お、そうだ!
(お父さんとは、連絡ついたの?)
(ついたわよ。お父さん、早く帰ってくるって。)
(わかった、ケーは呼んじゃダメ?)
(後でケーちゃんに連絡してみるわね。)
(了解!)
さて、母さんとの通信は終わり!
ケーとの通信はどうしたらいいのかな?
本の説明を聞いて、ちょっとえっ、と驚く。
簡単に言うと、人形を作って、その人形に魔法をかけるそうだ。
それから、通信ができるようになるらしい。
えー!!僕家庭科の裁縫って苦手なんだよな~。困ったな。
そうだ!
(母さん!母さん!)必死に念じる。
(どうしたの?トゥルー?)母さんだ。
(『魔法使い以外の対象に話しかける場合』は読んだんだけどさ、人形作るなんて無理だよー!)
(そうなの?それで?)もう、母さん知ってて言わせるんだからな~もう。
(人形だけ、母さんに作ってもらいたいんだけどダメ?僕家庭科の成績散々だったからさ。)
(本当は自分で作らないとなんだけどね…。わかった。)
(作ってくれる?)僕は懇願する。
(いいわよ。その代わり!)
(その代わり?)
(今度肩揉んでね。最近、肩痛くて~。)母さんの返事にがくっとなりつつ。
(わかったから、人形作ってね!)
(はいはい。)
コンコン。あれ?
カチャ。ドアが開くと。母さんだ。
「どうしたの?」
(人形作ったわよ!)僕の手にポンと乗せる。
(早いね、母さん!)思わず心の通信になる。
(わかっていたからね、作っておいたのよ。)
ニッコリ微笑んで、じゃ!と言って去っていった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 14

物語の終わりは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 15-17
Print Twitter(test) short URL いいね:5

back to the TOP


PR (i)