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●詩、小説●
2024-08-31 08:26:51バーチャル学校vol2 04
作 林柚希
「さて、本題に入ろうか。」僕が言うと、一同僕の顔を見た。
「この迷宮の外には森があって、僕たちの通う学校があるのは知っていますか?」と僕。
「それは知っているよ。だけど、君たちを驚かせないように、学校の生徒には知らせていないんだ。」これはリーブス。
「だから、僕たち生徒は知らないんだね。」と僕。
「そう。」とリーブス
「だから、迷い込むなんて生徒は皆無だったよね?」リーブスが言った。
「そうだね。」メープルは頷きながら答えた。
「私ちは昔からこの迷宮に住んでいるけれど、迷い道というのはあったけれど、迷宮と言うほどではなかったの。だけど、ちょっと前に地震があってね。」
「地震?」僕とケーが同時に訊いた。
「学校が休校だった頃かな?」僕が言うと、
「さぁ~?」ケーもよく覚えていないらしい。
「それでね、地震が収まると、いつの間にか迷宮、と呼んでいるものが出来上がっていたの。」メープルが思い出しつつ言っているようだ。
「だけど、君たちがこの迷宮に入らずに帰ることはできると思うよ。上手くいけばね。」
リーブスが注意深く言った。
「上手くいけば、って帰るのは難しいのかい?」僕が尋ねた。
「オークと出会わなければね。」顔にしわを寄せてリーブスが答えた。
「オークと言うのは、木の妖怪なんだけど、気が荒くて性格の悪い奴が多いんだよ。」
リーブスが更に顔にしわを寄せて言った。
「なんか怖いね。」ケーが心なしか頼りなげに言った。
でも僕は一応言ってみる。
「そのオークに会ったらどうすればいい?」いざとなったら、僕は戦えるだろうか?
「ひたすら、逃げた方がいい。」リーブスは言った。
「僕たちは争いは好まない種族なんだ。だから、戦わない。」でも、リーブスは言いながらちょっと悔しそうだ。
そうそう、と言って、メープルが1枚の革を広げた。
そこには、『地底迷宮地図』とある。皆でその地図を注目した。
僕たちの落ちた穴は、東の端に位置するようだ。ツリー村は、中央よりやや東南の位置だ。
僕は地図を眺めながら言った。
「僕達は、どこを目指して帰ればいいかな?」
リーブスは地図の東北を指さしながら、「ここを目指せばいいと思う。」と言った。
リーブスの刺した先には、洞窟出入口と書いてあり、そこは学校の森の中のようだった。
現在地のツリー村から、洞窟の出入り口まで、分岐点が幾つかあるが、そこを間違わなければ、無事にたどり着けそうだ。
「できればその地図のコピーを貰えないかな?はぐれないとは思うんだけど心配だから。」
ケーが言うと、「これも物々交換できるかい?」リーブスに言われた。
うーん、どうしよう。
僕が考え込んでいると、ケーがこともなげに言った。
「あ、私ね予知が少しできるんだ。2人の将来を予知できるよ。どうする?」
ケーはニコニコだ。なんだろう。
「それならね、地図は1枚だから、一人だけ予知してもらえる?」と、リーブスが言いながらメープルと話し合って、メープルの将来を予知することになった。
ケーとメープルはキッチンへ行って小声で話し合っている。
しばらくしてケーとメープルが戻ってきた。2人ともニコニコだ。
メープルは、ちょっと頬を上気させてうっとりしているようだ。その様子を見ていたリーブスが「どうしたの?」と尋ねても、「いい将来で良かった。」とメープルは嬉しそうに言うだけだった。地図は、ケーに持ってもらうことにした。
「他に迷宮に行くのに必要なものはあるのかい?」僕は、考えていたことを口にした。
「そうだね、ランタンとか少量の食べ物とかロープくらいかな。」リーブスが言った。
「あとね、リュックかカバンあるかな?」僕は言った。
「僕はたいして荷物を持っていないから、収納できる入れ物が欲しいんだけどね。」
でも、物々交換どうしよう?
そうしたら、「それなら、僕も将来を予知してもらおうかな?」リーブスがケーに言った。
「いいよ~。」とケー。
ケーとリープスはやはり小声で話し込むと、嬉しそうな顔をしてリーブスが戻ってきた。
そのうち教えてもらおうかな。ま、いいか。
「さっき言った道具とリュックは揃えるから大丈夫だよ。」リーブスが言った。
メープルが道具を揃えるために外出していった。
メープルが、ひと通り入ったリュック2つと肩掛けカバンを持って戻ってきた。
リュックを比べて、メープルの持ってきたリュックの方が重かったので、そちらを僕が1つ持つことにした。もう1つのリュックはリーブスが持ち、肩掛けカバンはメープルが持った。リーブスもメープルもなんだか嬉しいそうだな。羨ましいな。
いよいよ、ツリー村をあとにして迷宮へ足を踏み入れたのだった。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-04
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バーチャル学校vol2-05
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バーチャル学校vol2-06
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バーチャル学校vol2-07
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バーチャル学校vol2-08
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バーチャル学校vol2-09
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バーチャル学校vol2-10
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バーチャル学校vol2-11
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-12
「さて、本題に入ろうか。」僕が言うと、一同僕の顔を見た。
「この迷宮の外には森があって、僕たちの通う学校があるのは知っていますか?」と僕。
「それは知っているよ。だけど、君たちを驚かせないように、学校の生徒には知らせていないんだ。」これはリーブス。
「だから、僕たち生徒は知らないんだね。」と僕。
「そう。」とリーブス
「だから、迷い込むなんて生徒は皆無だったよね?」リーブスが言った。
「そうだね。」メープルは頷きながら答えた。
「私ちは昔からこの迷宮に住んでいるけれど、迷い道というのはあったけれど、迷宮と言うほどではなかったの。だけど、ちょっと前に地震があってね。」
「地震?」僕とケーが同時に訊いた。
「学校が休校だった頃かな?」僕が言うと、
「さぁ~?」ケーもよく覚えていないらしい。
「それでね、地震が収まると、いつの間にか迷宮、と呼んでいるものが出来上がっていたの。」メープルが思い出しつつ言っているようだ。
「だけど、君たちがこの迷宮に入らずに帰ることはできると思うよ。上手くいけばね。」
リーブスが注意深く言った。
「上手くいけば、って帰るのは難しいのかい?」僕が尋ねた。
「オークと出会わなければね。」顔にしわを寄せてリーブスが答えた。
「オークと言うのは、木の妖怪なんだけど、気が荒くて性格の悪い奴が多いんだよ。」
リーブスが更に顔にしわを寄せて言った。
「なんか怖いね。」ケーが心なしか頼りなげに言った。
でも僕は一応言ってみる。
「そのオークに会ったらどうすればいい?」いざとなったら、僕は戦えるだろうか?
「ひたすら、逃げた方がいい。」リーブスは言った。
「僕たちは争いは好まない種族なんだ。だから、戦わない。」でも、リーブスは言いながらちょっと悔しそうだ。
そうそう、と言って、メープルが1枚の革を広げた。
そこには、『地底迷宮地図』とある。皆でその地図を注目した。
僕たちの落ちた穴は、東の端に位置するようだ。ツリー村は、中央よりやや東南の位置だ。
僕は地図を眺めながら言った。
「僕達は、どこを目指して帰ればいいかな?」
リーブスは地図の東北を指さしながら、「ここを目指せばいいと思う。」と言った。
リーブスの刺した先には、洞窟出入口と書いてあり、そこは学校の森の中のようだった。
現在地のツリー村から、洞窟の出入り口まで、分岐点が幾つかあるが、そこを間違わなければ、無事にたどり着けそうだ。
「できればその地図のコピーを貰えないかな?はぐれないとは思うんだけど心配だから。」
ケーが言うと、「これも物々交換できるかい?」リーブスに言われた。
うーん、どうしよう。
僕が考え込んでいると、ケーがこともなげに言った。
「あ、私ね予知が少しできるんだ。2人の将来を予知できるよ。どうする?」
ケーはニコニコだ。なんだろう。
「それならね、地図は1枚だから、一人だけ予知してもらえる?」と、リーブスが言いながらメープルと話し合って、メープルの将来を予知することになった。
ケーとメープルはキッチンへ行って小声で話し合っている。
しばらくしてケーとメープルが戻ってきた。2人ともニコニコだ。
メープルは、ちょっと頬を上気させてうっとりしているようだ。その様子を見ていたリーブスが「どうしたの?」と尋ねても、「いい将来で良かった。」とメープルは嬉しそうに言うだけだった。地図は、ケーに持ってもらうことにした。
「他に迷宮に行くのに必要なものはあるのかい?」僕は、考えていたことを口にした。
「そうだね、ランタンとか少量の食べ物とかロープくらいかな。」リーブスが言った。
「あとね、リュックかカバンあるかな?」僕は言った。
「僕はたいして荷物を持っていないから、収納できる入れ物が欲しいんだけどね。」
でも、物々交換どうしよう?
そうしたら、「それなら、僕も将来を予知してもらおうかな?」リーブスがケーに言った。
「いいよ~。」とケー。
ケーとリープスはやはり小声で話し込むと、嬉しそうな顔をしてリーブスが戻ってきた。
そのうち教えてもらおうかな。ま、いいか。
「さっき言った道具とリュックは揃えるから大丈夫だよ。」リーブスが言った。
メープルが道具を揃えるために外出していった。
メープルが、ひと通り入ったリュック2つと肩掛けカバンを持って戻ってきた。
リュックを比べて、メープルの持ってきたリュックの方が重かったので、そちらを僕が1つ持つことにした。もう1つのリュックはリーブスが持ち、肩掛けカバンはメープルが持った。リーブスもメープルもなんだか嬉しいそうだな。羨ましいな。
いよいよ、ツリー村をあとにして迷宮へ足を踏み入れたのだった。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03
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バーチャル学校vol2-04
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バーチャル学校vol2-09
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バーチャル学校vol2-12
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バーチャル学校vol2 03
作 林柚希
リーブス「迷宮探検まで腹ごしらえしようよ。」
そういえば、僕トゥルーもケーもお腹ペコペコだ。
僕「でも僕たちはお金持ってなくて。どうしたらいい?」
ケー「私もお金持っていないなぁ。」
ぐるるる。きゅ~。2人ともお腹が自己主張している。
ケー「お菓子なら持っているけど、これと交換てどうかな?」
リーブス「僕たちは物々交換もやるよ。どんなお菓子?」
ケーはリュックからお菓子を取り出すと、クッキー缶を皆に見せた。
僕「美味そうだね~。」
リーブスは、可愛らしくカボチャやお化けの姿をしているクッキーをいたくお気に召した様子だった。
リーブス「このクッキー缶丸ごとくれないかい?そうしたらお昼ご飯と交換するよ。君たち二人分をね!」
僕「そうしようか、ケー?」僕はお腹が空き過ぎてまいりそうだ。
ケー「そうだね。いいよ。」仕方ないと肩をすくめている。
ケーはクッキー缶をリーブスに渡すと、「美味しい食事に交換してね!」と言った。
リーブスは、クッキー缶を受け取ると、2人を村の木に案内した。
リーブス「改めまして。ツリー村へようこそ!」
ツリー村へ踏み込むと、ひと言で言えば木でできた世界だ。
足元の木のプレートを縄で固定して道を作ってある。
その木のプレートに足を乗せるようにして進んでいくと、木の枝にログハウスのような小さな家があった。
そこの扉の前に立つと、ウォッホン、とリーブスが咳払いをして言った。
「メープル、いる?」
「いるよ!」家の中から元気な女性、というより女の子の声がしてバタンと戸が開いた。
「どうしたの、リーブス?」メープルは後ろの僕たちを見て、またリーブスに向き合うと行った。
「誰、お客さんなの?」
リーブス「お客さんだよ、人間なんだけどね。」
リーブスはクッキー缶をメイプルに渡すと、また言った。
「これと交換にね、美味しい食事を出してあげたいんだ。メイプルに、お願いしたいんだけど、いいかな。」
メープル「そうなのね。わかった。お料理するから中入ってね。どうぞ。」
キィ、と木の扉を開けると、3人は順番にリーブス、ケー、僕の順に入っていった。
部屋の中は、木のいい香りが漂っている。
様々な飾り付けがあって、窓のふちを幾何学模様で彩っている。
僕とケーは我に返ると「可愛い家ですね。」とそれぞれ褒めると自己紹介した。
「このお菓子、可愛いわね。」メープルは凄く気に入った様子だ。
「じゃ、お料理の支度をするから、ちょっと待っててね。」
メープルはそういうと、キッチンらしき場所に行った。
ケーは「お手伝いしましょうか?」と言うと。
奥からメープルが「運ぶのを手伝ってもらえるかしら?」と返事をした。
「了解。手伝いますね。」と言うと、キッチンに行った。
しばらくして、部屋中に何とも言えない、いい香りが漂い始めた。
僕、トゥルーのお腹は最高潮に鳴っている。
すると、メープルさんとケーがトレイに食事を乗せて持ってきた。
テーブルの上に乗せた食事を見て、僕は一刻も早く食べたくなった。
まず、キノコのクリームスープ、だと思う。ドワーフの世界でも同じなのかわからないけど。
それと、切ったトマトにチーズとレタス?が乗っているトースト。
それから、サラダ。
「クッキー缶との交換だとこんなところかしらね。」メープルが言った。
「さぁ、召し上がれ。」リーブスが言った。
「んぐんぐ。」「シャリシャリ。」「ごくごく。」「パクッ。」
もう、凄く美味しい食事で、ケーも僕もがっついて食べて、ひとことも口にしない。
その様子に、リーブスもメープルも驚いて、「ゆっくり食べていいのよ?」とちょっと心配げに、メープルが言った。
そして、ひと通り食べ終えて、ミルクティーをごちそうになった時に、僕とケーで、
「美味かったね~。」「美味しかったよね~。」と言い合っていた。
もちろん、メープルとリーブスには「ごちそうさまでした。」と言うのは忘れなかった。
ケーとメープルはすっかり仲良くなったみたいで、クッキーの焼き方の話をしている。
そして、本題の迷宮探検の話を始めたのだった。
この作品は、どこにも投稿していません。
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バーチャル学校vol2-12
リーブス「迷宮探検まで腹ごしらえしようよ。」
そういえば、僕トゥルーもケーもお腹ペコペコだ。
僕「でも僕たちはお金持ってなくて。どうしたらいい?」
ケー「私もお金持っていないなぁ。」
ぐるるる。きゅ~。2人ともお腹が自己主張している。
ケー「お菓子なら持っているけど、これと交換てどうかな?」
リーブス「僕たちは物々交換もやるよ。どんなお菓子?」
ケーはリュックからお菓子を取り出すと、クッキー缶を皆に見せた。
僕「美味そうだね~。」
リーブスは、可愛らしくカボチャやお化けの姿をしているクッキーをいたくお気に召した様子だった。
リーブス「このクッキー缶丸ごとくれないかい?そうしたらお昼ご飯と交換するよ。君たち二人分をね!」
僕「そうしようか、ケー?」僕はお腹が空き過ぎてまいりそうだ。
ケー「そうだね。いいよ。」仕方ないと肩をすくめている。
ケーはクッキー缶をリーブスに渡すと、「美味しい食事に交換してね!」と言った。
リーブスは、クッキー缶を受け取ると、2人を村の木に案内した。
リーブス「改めまして。ツリー村へようこそ!」
ツリー村へ踏み込むと、ひと言で言えば木でできた世界だ。
足元の木のプレートを縄で固定して道を作ってある。
その木のプレートに足を乗せるようにして進んでいくと、木の枝にログハウスのような小さな家があった。
そこの扉の前に立つと、ウォッホン、とリーブスが咳払いをして言った。
「メープル、いる?」
「いるよ!」家の中から元気な女性、というより女の子の声がしてバタンと戸が開いた。
「どうしたの、リーブス?」メープルは後ろの僕たちを見て、またリーブスに向き合うと行った。
「誰、お客さんなの?」
リーブス「お客さんだよ、人間なんだけどね。」
リーブスはクッキー缶をメイプルに渡すと、また言った。
「これと交換にね、美味しい食事を出してあげたいんだ。メイプルに、お願いしたいんだけど、いいかな。」
メープル「そうなのね。わかった。お料理するから中入ってね。どうぞ。」
キィ、と木の扉を開けると、3人は順番にリーブス、ケー、僕の順に入っていった。
部屋の中は、木のいい香りが漂っている。
様々な飾り付けがあって、窓のふちを幾何学模様で彩っている。
僕とケーは我に返ると「可愛い家ですね。」とそれぞれ褒めると自己紹介した。
「このお菓子、可愛いわね。」メープルは凄く気に入った様子だ。
「じゃ、お料理の支度をするから、ちょっと待っててね。」
メープルはそういうと、キッチンらしき場所に行った。
ケーは「お手伝いしましょうか?」と言うと。
奥からメープルが「運ぶのを手伝ってもらえるかしら?」と返事をした。
「了解。手伝いますね。」と言うと、キッチンに行った。
しばらくして、部屋中に何とも言えない、いい香りが漂い始めた。
僕、トゥルーのお腹は最高潮に鳴っている。
すると、メープルさんとケーがトレイに食事を乗せて持ってきた。
テーブルの上に乗せた食事を見て、僕は一刻も早く食べたくなった。
まず、キノコのクリームスープ、だと思う。ドワーフの世界でも同じなのかわからないけど。
それと、切ったトマトにチーズとレタス?が乗っているトースト。
それから、サラダ。
「クッキー缶との交換だとこんなところかしらね。」メープルが言った。
「さぁ、召し上がれ。」リーブスが言った。
「んぐんぐ。」「シャリシャリ。」「ごくごく。」「パクッ。」
もう、凄く美味しい食事で、ケーも僕もがっついて食べて、ひとことも口にしない。
その様子に、リーブスもメープルも驚いて、「ゆっくり食べていいのよ?」とちょっと心配げに、メープルが言った。
そして、ひと通り食べ終えて、ミルクティーをごちそうになった時に、僕とケーで、
「美味かったね~。」「美味しかったよね~。」と言い合っていた。
もちろん、メープルとリーブスには「ごちそうさまでした。」と言うのは忘れなかった。
ケーとメープルはすっかり仲良くなったみたいで、クッキーの焼き方の話をしている。
そして、本題の迷宮探検の話を始めたのだった。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03
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バーチャル学校vol2-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-05
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物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-07
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バーチャル学校vol2-08
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-09
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-10
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バーチャル学校vol2 02
作 林柚希
木の虚の中は、段々薄暗くなって、やがて何も見えなくなってきた。
「マズイな、このままじゃ。」僕は、何かいい魔法は無かったか、頭の中をめぐらしているが、いい案が見当たらない。
「これなんか、どうだろう?」カチッと音がして、地面に光が現れた。
「懐中電灯?用意がいいねぇ。」僕はヒューっと口笛を鳴らした。
「ま~ね。」ケーはまんざらでもないようだ。
とりあえず、しばらく先を進むと、何やら「キャッ。」とケーの叫び声が小さく響いて、どさっと倒れたようだった。と同時に地面の光はコロコロと転がり、消えてしまった。
「げ。本当に?」僕が思わず口にした。
「トゥルー、どうしようか?」とケーがまいった、とばかりに口にする。
「何か光源でも無いかな?」ケーの言葉に、思わず。
「それだ!」僕は、ペンケースからペンを一本選んだ。でもこれは、真っ暗闇の中でしているので手探りの状態だ。そして、指でペン先の逆を確認すると、ビシっと持ち、こう唱えた。
「真の光をこれへ!」
すると、ペンの先の逆がぽわっと光が点り、ビーっと地面に当たった。なんだか青白い光だった。それから、もう一度唱える。
「地の光よ、真円を描け!」
点だった地面の光は、1,5メートルくらいの円を描き地面を照らしている。
「トゥルー、凄いね!」ケーは思わず拍手していた。
「それほどでも、あるかな?」僕が思わずニカっと笑って言った。
「もう、トゥルーったら。」ケーも笑っているのが薄暗がりに見える。
「さて、行こうか。」僕が促した。
しばらく先へ進んでも、何も変化が無かった。時計を見ると、5分ほど進んだろうか。
「ヤッホー!」ケーがなんとなく大声を出している。
すると。
遠くから、何かの鳴き声が聞こえだして、段々と近づいてくる。
これにギョッとしたケーが、「トゥルー、怖いよ~」としがみついてきた。
僕も、近づいてくるものが、洞窟の天井から聞こえだしていたので、ケーと一緒に地面に伏せた。
すると、頭上に「キャキャ」と鳴き声がしてトゥルー達の道を通っていく。何だろう。
光を天井に向けると、割と大きなコウモリが羽ばたきながら、やがて通り過ぎていった。
「びっくりしたね~。」僕は、ケーの補助をすると2人とも立ち上がって、そしてケーが言った。
「ごめんね、トゥルー。急に大声なんか出すもんじゃないね。」
「仕方ないよ、大丈夫?」僕はケーに光を当てて、どこも何ともないのを確認した。
ペン先の光を元に、また2人とも歩き出した。
1本道をずぅっと歩いていくと、奥から段々と明るい光が見えてきた。
「出口かな?」ケーが心なしか嬉しそうだ。
「そうかもしれない。」僕も心が弾む。
「行ってみよう!」2人とも小走りになっていた。
光だ。
そして、出入口いっぱい輝いている。
そこにたどり着くと、そこは野球場ほどの広さの洞穴、といったらいいだろうか。
中央には、巨大な木が生えていて、木で組み上げた通路や階段がついている。
木のあちこちにランプがついていて、真昼の明るさ、ではないが雰囲気を醸し出している。
広さからすると、村、なんだろうか。
「ようこそ!ツリー村へ。」ディズニーの白雪姫に出てくる小人のような姿の村人が、そう、案内してくれた。
「ツリー村?」僕トゥルーはオウム返しに訊いた。
「そうだよ?何しにこの村へ来たんだい?」僕たちを見て、また尋ねてきた。
「君たちは、人間だね?」
「そうだよ。」と僕。
「君たちは人間かい?」ケーが尋ねた。
「違うよ。僕たちはドワーフ、って言うんだよ。」村人が答えた。
「ドワーフ?」2人とも同時に言った。
「そう!僕の名前はリーブス。よろしくね。」ドワーフのリーブスがにっこり笑った。
「僕はトゥルー、よろしく。」僕も、思わずにっこりした。
「私はケー。よろしくね。」ケーも微笑んでいる。
「それで、どんな用事でこの村へ来たんだい?」リーブスは、顔にクエスチョンマークがついているかのようだ。
僕が、学校の森の木から落ちて、地底探検する羽目になった話を、かいつまんですると、リーブスは、「そりゃ災難だったね。」と苦笑した。
「ここの迷宮は広いから、出口まで、僕ともう一人で出口まで案内するよ。」とリーブス。
もう一人、メープルという女性ドワーフと一緒に出口まで、案内することになった。
この作品は、どこにも投稿していません。
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バーチャル学校vol2-01
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バーチャル学校vol2-12
木の虚の中は、段々薄暗くなって、やがて何も見えなくなってきた。
「マズイな、このままじゃ。」僕は、何かいい魔法は無かったか、頭の中をめぐらしているが、いい案が見当たらない。
「これなんか、どうだろう?」カチッと音がして、地面に光が現れた。
「懐中電灯?用意がいいねぇ。」僕はヒューっと口笛を鳴らした。
「ま~ね。」ケーはまんざらでもないようだ。
とりあえず、しばらく先を進むと、何やら「キャッ。」とケーの叫び声が小さく響いて、どさっと倒れたようだった。と同時に地面の光はコロコロと転がり、消えてしまった。
「げ。本当に?」僕が思わず口にした。
「トゥルー、どうしようか?」とケーがまいった、とばかりに口にする。
「何か光源でも無いかな?」ケーの言葉に、思わず。
「それだ!」僕は、ペンケースからペンを一本選んだ。でもこれは、真っ暗闇の中でしているので手探りの状態だ。そして、指でペン先の逆を確認すると、ビシっと持ち、こう唱えた。
「真の光をこれへ!」
すると、ペンの先の逆がぽわっと光が点り、ビーっと地面に当たった。なんだか青白い光だった。それから、もう一度唱える。
「地の光よ、真円を描け!」
点だった地面の光は、1,5メートルくらいの円を描き地面を照らしている。
「トゥルー、凄いね!」ケーは思わず拍手していた。
「それほどでも、あるかな?」僕が思わずニカっと笑って言った。
「もう、トゥルーったら。」ケーも笑っているのが薄暗がりに見える。
「さて、行こうか。」僕が促した。
しばらく先へ進んでも、何も変化が無かった。時計を見ると、5分ほど進んだろうか。
「ヤッホー!」ケーがなんとなく大声を出している。
すると。
遠くから、何かの鳴き声が聞こえだして、段々と近づいてくる。
これにギョッとしたケーが、「トゥルー、怖いよ~」としがみついてきた。
僕も、近づいてくるものが、洞窟の天井から聞こえだしていたので、ケーと一緒に地面に伏せた。
すると、頭上に「キャキャ」と鳴き声がしてトゥルー達の道を通っていく。何だろう。
光を天井に向けると、割と大きなコウモリが羽ばたきながら、やがて通り過ぎていった。
「びっくりしたね~。」僕は、ケーの補助をすると2人とも立ち上がって、そしてケーが言った。
「ごめんね、トゥルー。急に大声なんか出すもんじゃないね。」
「仕方ないよ、大丈夫?」僕はケーに光を当てて、どこも何ともないのを確認した。
ペン先の光を元に、また2人とも歩き出した。
1本道をずぅっと歩いていくと、奥から段々と明るい光が見えてきた。
「出口かな?」ケーが心なしか嬉しそうだ。
「そうかもしれない。」僕も心が弾む。
「行ってみよう!」2人とも小走りになっていた。
光だ。
そして、出入口いっぱい輝いている。
そこにたどり着くと、そこは野球場ほどの広さの洞穴、といったらいいだろうか。
中央には、巨大な木が生えていて、木で組み上げた通路や階段がついている。
木のあちこちにランプがついていて、真昼の明るさ、ではないが雰囲気を醸し出している。
広さからすると、村、なんだろうか。
「ようこそ!ツリー村へ。」ディズニーの白雪姫に出てくる小人のような姿の村人が、そう、案内してくれた。
「ツリー村?」僕トゥルーはオウム返しに訊いた。
「そうだよ?何しにこの村へ来たんだい?」僕たちを見て、また尋ねてきた。
「君たちは、人間だね?」
「そうだよ。」と僕。
「君たちは人間かい?」ケーが尋ねた。
「違うよ。僕たちはドワーフ、って言うんだよ。」村人が答えた。
「ドワーフ?」2人とも同時に言った。
「そう!僕の名前はリーブス。よろしくね。」ドワーフのリーブスがにっこり笑った。
「僕はトゥルー、よろしく。」僕も、思わずにっこりした。
「私はケー。よろしくね。」ケーも微笑んでいる。
「それで、どんな用事でこの村へ来たんだい?」リーブスは、顔にクエスチョンマークがついているかのようだ。
僕が、学校の森の木から落ちて、地底探検する羽目になった話を、かいつまんですると、リーブスは、「そりゃ災難だったね。」と苦笑した。
「ここの迷宮は広いから、出口まで、僕ともう一人で出口まで案内するよ。」とリーブス。
もう一人、メープルという女性ドワーフと一緒に出口まで、案内することになった。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-05
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バーチャル学校vol2-06
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バーチャル学校vol2-07
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バーチャル学校vol2-08
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バーチャル学校vol2-09
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バーチャル学校vol2-10
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バーチャル学校vol2-11
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バーチャル学校vol2-12
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バーチャル学校vol2 01
作 林柚希
校長先生が変わる大騒動が終わって半年、バーチャル学校は平穏無事でなんだかちょっと物足りない感じ。
今考えると面白かったなぁ。
ちょっと腹立たしかったり、怖かったりもしたけれど。
さて、今日も学校だ。
キーンコーンカーンコーン。
僕トゥルーは、ケーに学校で会いまた一緒になんかしたいね、と話していた。
「トゥルー!」
「わっぷ。」と僕。
また、ケーが尻尾で僕に巻き付いてくる。
「やめろってば~。」僕はそういうと、ケーに「おはよ。」と言った。
「おはよ。トゥルー。」ケーはニコニコだ。
「?何かいいことあった?」僕は、そう尋ねるとケーを見た。
ケー、最近ボーイッシュな恰好をたまにやめて、女の子らしい可愛い服装で学校に来る。
それがまた、妙に似合っていて、僕はちょっと何とも言えない気持ちになる。
同じクラスの男子の間でも「ケーちょっと可愛くなってね?」ってちょっとした話題だ。
どうしたんだろう。
「何も変わらないよ。」ケーはニコニコが変わらない。
「あ、そうそう。お昼休みにさ。ちょっと探検しない?」ケーが提案してきた。
「探検?どこどこ??そんな場所あったっけ?」僕の頭はクエスチョンだらけだ。
「えとね、学校のグラウンド突っ切った先にある森にさ、大きな木があるでしょ?」
ケーはちょっと頬に赤みがさしている。
「大きな木?そんなのあったっけ?」僕はよくわからない。
「ま、いいからさ、行ってみようよ!」
「そうだね。…ま、いっか。」ケーに押される形で僕は大きな木に行くことにした。
さて、お昼ご飯を食べ終えて、僕とケーはグラウンドの端にやってきた。
「学校管轄の森 立ち入り禁止」とある。
「行って大丈夫かな?」僕は、ちょっと気遅れしている。
「大丈夫だよ。さ、行こ。」ケーが促す。
ケーが先に歩いているが、ケーときたらなんだかリュック背負って登山気分?
ま、いっか。
歩き出して、数分。
森の中は、うっそうと茂っているが、空が見えないわけではないのでそれほど圧迫感はない。
そして、大人が5人くらいで抱えてひと回りするくらいの巨木に出会った。
木の裏側に行くと、ケーは「こっち座ろうよ!」と言ってきた。
裏側に来ると、ケーが小さなビニールシートを敷いて、ちょっとしたピクニック気分だ。
僕はなんだか嬉しくなった。
「さ、座ろ?」
一緒にケーと座ると、「学校にこんな巨木があるなんてね。」と僕は言った。
ケーは「そうだね」と短く言うと、「お菓子食べよ。」とチョコをくれた。
箱の中に四角いチョコが9個ほど入っている。そして粉がかかっていた。
「トリュフチョコだよ。美味しいよ。」ニコっと笑って差し出してくれた。
1つ取り出して、口にしてみる。とろける柔らかさだ。
「うま~い。」思わず僕はびっくりした。
「美味しいでしょ?トゥルーの為に選んだんだよ。」
ケーの何気ない口調に、僕はちょっとドキっとした。
僕はちょっとドギマギして、なんだか落ち着かなかったので、木にもたれかかることにした。
「ありがとね~、ケー。」と言って、頭の上に手を組んでもたれかかったら。
ケーが「あっ。そこはだめだよートゥルー。危ないっ。」ケーが慌てる。
僕は後ろ手に手を組んだまま、木の虚(うろ)に吸い込まれていったのだった。
ドサッ。
「痛ったー」僕は、すぐに起き上がれずに、体のふし節が痛くてびっくりした。
ドサッ。
「ギャー。」ケーが僕の上に落っこちてきた!
ケーはすぐにどくと、「ごめんトゥルー、大丈夫?」
「大丈夫だけどさ。なんでおっこちてくるの?」僕は体のあちこちを点検した。
上を見ると、穴は5メートルくらい上だ。
「いや、トゥルーのところに私も行こうと思って。」
ケーと僕は見合わせるとなんだか、クスクス笑ってしまった。
周囲を見ると、道が1本連なっていて先が暗くて見えない。
「どうしようか、トゥルー」ケーはなんだか苦笑いしている。
「そうだね、こっちの道を行ってみようか?」僕が答える。
僕たちは、そろそろと歩き出したのだった。
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バーチャル学校vol2-12
校長先生が変わる大騒動が終わって半年、バーチャル学校は平穏無事でなんだかちょっと物足りない感じ。
今考えると面白かったなぁ。
ちょっと腹立たしかったり、怖かったりもしたけれど。
さて、今日も学校だ。
キーンコーンカーンコーン。
僕トゥルーは、ケーに学校で会いまた一緒になんかしたいね、と話していた。
「トゥルー!」
「わっぷ。」と僕。
また、ケーが尻尾で僕に巻き付いてくる。
「やめろってば~。」僕はそういうと、ケーに「おはよ。」と言った。
「おはよ。トゥルー。」ケーはニコニコだ。
「?何かいいことあった?」僕は、そう尋ねるとケーを見た。
ケー、最近ボーイッシュな恰好をたまにやめて、女の子らしい可愛い服装で学校に来る。
それがまた、妙に似合っていて、僕はちょっと何とも言えない気持ちになる。
同じクラスの男子の間でも「ケーちょっと可愛くなってね?」ってちょっとした話題だ。
どうしたんだろう。
「何も変わらないよ。」ケーはニコニコが変わらない。
「あ、そうそう。お昼休みにさ。ちょっと探検しない?」ケーが提案してきた。
「探検?どこどこ??そんな場所あったっけ?」僕の頭はクエスチョンだらけだ。
「えとね、学校のグラウンド突っ切った先にある森にさ、大きな木があるでしょ?」
ケーはちょっと頬に赤みがさしている。
「大きな木?そんなのあったっけ?」僕はよくわからない。
「ま、いいからさ、行ってみようよ!」
「そうだね。…ま、いっか。」ケーに押される形で僕は大きな木に行くことにした。
さて、お昼ご飯を食べ終えて、僕とケーはグラウンドの端にやってきた。
「学校管轄の森 立ち入り禁止」とある。
「行って大丈夫かな?」僕は、ちょっと気遅れしている。
「大丈夫だよ。さ、行こ。」ケーが促す。
ケーが先に歩いているが、ケーときたらなんだかリュック背負って登山気分?
ま、いっか。
歩き出して、数分。
森の中は、うっそうと茂っているが、空が見えないわけではないのでそれほど圧迫感はない。
そして、大人が5人くらいで抱えてひと回りするくらいの巨木に出会った。
木の裏側に行くと、ケーは「こっち座ろうよ!」と言ってきた。
裏側に来ると、ケーが小さなビニールシートを敷いて、ちょっとしたピクニック気分だ。
僕はなんだか嬉しくなった。
「さ、座ろ?」
一緒にケーと座ると、「学校にこんな巨木があるなんてね。」と僕は言った。
ケーは「そうだね」と短く言うと、「お菓子食べよ。」とチョコをくれた。
箱の中に四角いチョコが9個ほど入っている。そして粉がかかっていた。
「トリュフチョコだよ。美味しいよ。」ニコっと笑って差し出してくれた。
1つ取り出して、口にしてみる。とろける柔らかさだ。
「うま~い。」思わず僕はびっくりした。
「美味しいでしょ?トゥルーの為に選んだんだよ。」
ケーの何気ない口調に、僕はちょっとドキっとした。
僕はちょっとドギマギして、なんだか落ち着かなかったので、木にもたれかかることにした。
「ありがとね~、ケー。」と言って、頭の上に手を組んでもたれかかったら。
ケーが「あっ。そこはだめだよートゥルー。危ないっ。」ケーが慌てる。
僕は後ろ手に手を組んだまま、木の虚(うろ)に吸い込まれていったのだった。
ドサッ。
「痛ったー」僕は、すぐに起き上がれずに、体のふし節が痛くてびっくりした。
ドサッ。
「ギャー。」ケーが僕の上に落っこちてきた!
ケーはすぐにどくと、「ごめんトゥルー、大丈夫?」
「大丈夫だけどさ。なんでおっこちてくるの?」僕は体のあちこちを点検した。
上を見ると、穴は5メートルくらい上だ。
「いや、トゥルーのところに私も行こうと思って。」
ケーと僕は見合わせるとなんだか、クスクス笑ってしまった。
周囲を見ると、道が1本連なっていて先が暗くて見えない。
「どうしようか、トゥルー」ケーはなんだか苦笑いしている。
「そうだね、こっちの道を行ってみようか?」僕が答える。
僕たちは、そろそろと歩き出したのだった。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
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物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03
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バーチャル学校vol2-04
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バーチャル学校vol2-05
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バーチャル学校vol2-08
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バーチャル学校vol2-09
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バーチャル学校vol2-11
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ゲコに囲まれて
ゲコゲコゲコ。
田んぼは、蛙の大合唱だ。
僕は親戚の家に遊びに来ている。
ここの地元の友達にザリガニを取らないかと誘われて来た。
田んぼは、青々としていて、清々しい。
都会育ちの僕には、素朴で思いもかけない日々を楽しんでいる。
「あっちにいたぞ!」
お。何か見つかったな。
田んぼの横の小さな川辺で、ザリガニ取り。
フナも取れたぞ。
タニシもいた。
デジタルな都会の生活とは違うな。
物足りないようで楽しい。
僕の性に合っているとつくづく思う。
都会で僕は、いじめられっ子だ。
肌の色が白くて女の子みたいだそうだ。
悔しくて、父さんに泣きついたら、ここを紹介された。
でも、ここでもいじめられっ子かと思ったら、そんな事なかった。
僕はあたたかく迎えられて無茶苦茶嬉しかったな。
いつの間にか、僕も地元の子どもみたいに黒くなってきた。
もうちょっとだ。
そうして、
都会のホームに帰ったらリベンジだ!
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忘れ形見vol.3死んだ俺は
作 林柚希
そして、1ヶ月経った頃だろうか、おじいさんに教わって、近所の神社にある、不思議な泉に出かけて、現世の様子をちょっとずつ見てみた。家族も友達も、少しずつ立ち直っていっているようだけれど、彼女だった葵がいつまでたっても立ち直れないようだった。
大丈夫だろうか。俺も、淡泊なのか、死んだのには割と順応してしまっていたけれど、天国での暮らし、というものに慣れるのにちょっとかかって現世での家族や友達や彼女の事を考える暇がなかった。でも、生活もわかってきて落ち着いた時、現世での皆が気になったのだった。現世を泉からちょっとずつ覗くと、明らかに葵だけとり残されている。
そのうち、毎日泉でお祈りするようになった。
「一度でいい、彼女に逢いたい」と。
それから、また数ヶ月経った頃、神様が俺の前にあらわれた。
「彼女がそんなに気になるかの?」
「はい、彼女に逢いたいんです」
「あわよくば、生き返りたいかの?」
「いえ、それは…。もう諦めているけれど、彼女を元気づけてあげたいんです。
見ていられない程落ち込んでしまっているので…。」
「それなら、一度だけ、叶えてしんぜよう。その代り、夢の中と彼女は思うだろうがの。」
「それでも、いいです!逢わせてくださいっ。」
「ようわかった。目をつぶって彼女の事を思い浮かべなされ。」
葵…。もうすぐ逢いに行くからな!待ってろ。
ふっと、脳裏に葵の部屋が思い浮かんだ。彼女は、ベッドに寝ながら、アルバムを読んでいた。ふいっと、体が吸い寄せられる感覚がすると、もう彼女の目の前にいた。
「よ!」
照れくさくて、久しぶりの挨拶をする。
「ゆ、勇人!?」
葵は、かなりびっくりしている様子だ。
「そうだよ、元気ないな、お前」
「本物?」
「本物だよ~。神様にお願いして出てきちゃった。」
「出てきちゃった、って。化けて出てきたの?」葵は呆れただろうか?
「違うよ~。化けてって言うなよ~。」
「勇人~。私、逢いたかったよ~。」
涙を流して、俺に抱きついてきたけれど、スカスカと感触がない。俺、本当に幽霊なんだな~。心の底で少し悲しくなる。
「ま、俺、幽霊だからなっ。一応」ちょっと、明るいフリをして言う。
「う、うん。そうだね。」
「怖くないのか?」
「全然怖くないよ。」正直、ホッとした。
「勇人、ずーっとずーっと、一緒にいてもらえないの?」すごく懇願してくる。この目線に弱いんだよな。俺も、一瞬生き返りたいと思ったけれど、それは無理な話だ。仕方ない。
「それは、駄目だって、言われちゃったんだ。」
「勇人、これ。」べっこうのメガネを見せてくる。
「これを勇人だと思って大事にしていたんだよ。」葵はまた、涙を流している。
「おっ、おい、泣くなって。」
「うん。」葵は涙を拭いた。困るなぁ。涙を拭いてやることもできない。
「勇人、このメガネに宿ることはできないの?」
「無理だよ~。」そんなことできても、悲しくなるだけだぞ。
「そうだよね。」なんだか、納得したようだ。
「それより、お前、俺にこだわってないで、前見て人生歩けよ。見守っているからな。」
そうそう、この一言が言いたかったんだ。
「そんな急に無理だよ。一人じゃ寂しいし。」
仕方ないから教えるか。「お前の事を見ている存在は他にもいるんだぞ。」
「だって、そんな存在いないもん。」
「それは、お前が気づいてないだけだって。お前、意外とモテてたぞ。」葵が他の奴と歩いていたら俺は…。でも!
「ヤダ。勇人がいい。」
しょうがないなぁ。嬉しかったけれど、もう葵とは一緒に過ごせない。俺はもうここで踏ん切りがついた。
「しょうがないなぁ。いずれまた、俺も転生っての、するから。そしたら違う形で会うかもな。」そうだ、葵の近所のガキんちょに転生して、びっくりさせるのも面白いかも。
「そうなの?」
「ああ、そうだよ。だからいい事もたくさん待ってるから、立ち直って幸せになれよな。」
葵はまた、涙を流しながら、「うん、そうだね…。」少し落ち着いたようだ。
葵は涙をぬぐいながら、
「私、勇人に出逢えてよかったと、思ったよ。だからまたどこかで出会えるといいね。勇人、大好きだったよ」
「俺も、お前の事が大好きだったよ。」なんだか、振られた気分だ。
「うん、ありがと。」
「俺も、ありがとう。」でも、おかげで、俺も心にケリを付けられた気がする。
俺は、頭をなでる仕草をしながら、「じゃ、俺、行くからな。」
「さよなら、勇人」彼女はそのまま、気を失って眠り込んでしまった。
俺も、気が付くと天上界の神社の泉に立っていた。葵…。いつも楽しかったよ。
富士山までよく遊びに行ったの、忘れていないからな。また、どこかで会おうな。
それまで、俺も頑張るから。
「神様、ありがとうございました。」
「これで、気が済んだかの?」
「はい、たぶん…。後は彼女次第なんですが。」
「彼女は大丈夫じゃと思うよ。お前さんも過去ばかりにふりまわされんように、先を見つめなされや。」神様はそう言うと、ふっと消えてしまった。
いけね、おじいちゃんが家で待ってる。確か、饅頭食いたいって言ってたっけ。俺も泉をあとにしたのだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
そして、1ヶ月経った頃だろうか、おじいさんに教わって、近所の神社にある、不思議な泉に出かけて、現世の様子をちょっとずつ見てみた。家族も友達も、少しずつ立ち直っていっているようだけれど、彼女だった葵がいつまでたっても立ち直れないようだった。
大丈夫だろうか。俺も、淡泊なのか、死んだのには割と順応してしまっていたけれど、天国での暮らし、というものに慣れるのにちょっとかかって現世での家族や友達や彼女の事を考える暇がなかった。でも、生活もわかってきて落ち着いた時、現世での皆が気になったのだった。現世を泉からちょっとずつ覗くと、明らかに葵だけとり残されている。
そのうち、毎日泉でお祈りするようになった。
「一度でいい、彼女に逢いたい」と。
それから、また数ヶ月経った頃、神様が俺の前にあらわれた。
「彼女がそんなに気になるかの?」
「はい、彼女に逢いたいんです」
「あわよくば、生き返りたいかの?」
「いえ、それは…。もう諦めているけれど、彼女を元気づけてあげたいんです。
見ていられない程落ち込んでしまっているので…。」
「それなら、一度だけ、叶えてしんぜよう。その代り、夢の中と彼女は思うだろうがの。」
「それでも、いいです!逢わせてくださいっ。」
「ようわかった。目をつぶって彼女の事を思い浮かべなされ。」
葵…。もうすぐ逢いに行くからな!待ってろ。
ふっと、脳裏に葵の部屋が思い浮かんだ。彼女は、ベッドに寝ながら、アルバムを読んでいた。ふいっと、体が吸い寄せられる感覚がすると、もう彼女の目の前にいた。
「よ!」
照れくさくて、久しぶりの挨拶をする。
「ゆ、勇人!?」
葵は、かなりびっくりしている様子だ。
「そうだよ、元気ないな、お前」
「本物?」
「本物だよ~。神様にお願いして出てきちゃった。」
「出てきちゃった、って。化けて出てきたの?」葵は呆れただろうか?
「違うよ~。化けてって言うなよ~。」
「勇人~。私、逢いたかったよ~。」
涙を流して、俺に抱きついてきたけれど、スカスカと感触がない。俺、本当に幽霊なんだな~。心の底で少し悲しくなる。
「ま、俺、幽霊だからなっ。一応」ちょっと、明るいフリをして言う。
「う、うん。そうだね。」
「怖くないのか?」
「全然怖くないよ。」正直、ホッとした。
「勇人、ずーっとずーっと、一緒にいてもらえないの?」すごく懇願してくる。この目線に弱いんだよな。俺も、一瞬生き返りたいと思ったけれど、それは無理な話だ。仕方ない。
「それは、駄目だって、言われちゃったんだ。」
「勇人、これ。」べっこうのメガネを見せてくる。
「これを勇人だと思って大事にしていたんだよ。」葵はまた、涙を流している。
「おっ、おい、泣くなって。」
「うん。」葵は涙を拭いた。困るなぁ。涙を拭いてやることもできない。
「勇人、このメガネに宿ることはできないの?」
「無理だよ~。」そんなことできても、悲しくなるだけだぞ。
「そうだよね。」なんだか、納得したようだ。
「それより、お前、俺にこだわってないで、前見て人生歩けよ。見守っているからな。」
そうそう、この一言が言いたかったんだ。
「そんな急に無理だよ。一人じゃ寂しいし。」
仕方ないから教えるか。「お前の事を見ている存在は他にもいるんだぞ。」
「だって、そんな存在いないもん。」
「それは、お前が気づいてないだけだって。お前、意外とモテてたぞ。」葵が他の奴と歩いていたら俺は…。でも!
「ヤダ。勇人がいい。」
しょうがないなぁ。嬉しかったけれど、もう葵とは一緒に過ごせない。俺はもうここで踏ん切りがついた。
「しょうがないなぁ。いずれまた、俺も転生っての、するから。そしたら違う形で会うかもな。」そうだ、葵の近所のガキんちょに転生して、びっくりさせるのも面白いかも。
「そうなの?」
「ああ、そうだよ。だからいい事もたくさん待ってるから、立ち直って幸せになれよな。」
葵はまた、涙を流しながら、「うん、そうだね…。」少し落ち着いたようだ。
葵は涙をぬぐいながら、
「私、勇人に出逢えてよかったと、思ったよ。だからまたどこかで出会えるといいね。勇人、大好きだったよ」
「俺も、お前の事が大好きだったよ。」なんだか、振られた気分だ。
「うん、ありがと。」
「俺も、ありがとう。」でも、おかげで、俺も心にケリを付けられた気がする。
俺は、頭をなでる仕草をしながら、「じゃ、俺、行くからな。」
「さよなら、勇人」彼女はそのまま、気を失って眠り込んでしまった。
俺も、気が付くと天上界の神社の泉に立っていた。葵…。いつも楽しかったよ。
富士山までよく遊びに行ったの、忘れていないからな。また、どこかで会おうな。
それまで、俺も頑張るから。
「神様、ありがとうございました。」
「これで、気が済んだかの?」
「はい、たぶん…。後は彼女次第なんですが。」
「彼女は大丈夫じゃと思うよ。お前さんも過去ばかりにふりまわされんように、先を見つめなされや。」神様はそう言うと、ふっと消えてしまった。
いけね、おじいちゃんが家で待ってる。確か、饅頭食いたいって言ってたっけ。俺も泉をあとにしたのだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
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忘れ形見vol.2その時俺は
作 林柚希
俺はその時、物凄く急いでいた。ふいっと何も用意をせずに富士山の朝日が見たくて朝方近くにぶっとばして、見に行ったのだった。でも、今日は平日だったから急いで戻らなくちゃ学校に遅れる。ヤバイ。急いで、バイクにまたがり、エンジンをふかして道を急いだ。それが、そもそもの間違いだった。寝不足で、頭も痛かったせいもあったけれど、ハンドル操作を誤ってしまい、「しまった」とつぶやいた時は事故っていた。
しばらくすると、川のど真ん中だった。
あれ?俺は家に帰ろうとしていたんじゃなかったっけ?まぁ、いいか。すると「ゆうと~、ゆうと~」と、声が聴こえる。川向うは靄がかかってよく見えない。誰だろ?俺を呼ぶのは。
とりあえず、川を渡ってみよう。
川の中ほどで、ようやく人がおぼろげながら見えてきた。
「勇人。こっちきちゃイカンよ~」と声を出しているのはあれ?おじいちゃんじゃんか!
急いで渡りきると「よ!おじいちゃん。元気か?」と声をかけた。
おじいちゃんは、がっくりと肩を落として、
「しまった。声をかけるべきじゃなかったの~」と悲しそうな声だ。
そういえば。「おじいちゃん、亡くなってたよな?元気そうだけど。」
「違うんじゃよ。ここは三途の川じゃ。わしは亡くなっているし、勇人、お前さんも亡くなってしもうとるんよ。」
「何言ってるんだよ、じいちゃん!俺ピンピンしているよ?」
「いや、三途の川を渡ってしまうとのう、死んでしまうんよ。正確には、バイクっちゅうもので交通事故でのう、亡くなったんよ。」
「いやだなぁ、脅かさないでくれよ。夢だろ?どうせ。」
「何度も言っとるがのう、お前さんは死んでしもうたんよ。この先に、地獄の門が続いて閻魔大王様がおるで、話を聞けば分かるじゃろうて。」
「う、嘘だろ?おじいちゃん」現実なのか?これ。
「混乱しとるようだがの、とりあえず、渡ってしまったものは仕方ないのじゃ。先へ行きなされ。」
「嘘だ。絶対夢だ。」バシバシ頬を叩く。夢なら覚めてくれ!頼む。暫く、自分にデコピンしたり痛いことを散々やったけれど、変わらない。確かに、俺は富士山から家に戻る途中だったはずだ。
おじいちゃんが同情して「途中まで、一緒につきそうで、がっかりしなさんなや。」
「おじいちゃん、川を戻っちゃいけないのか?」
「いけない決まりになっておるんよ。だから可哀そうじゃが諦めなされ。」
俺。死んじまったんだ。体に力が入らない。本当なんだろうか。おじいちゃんがいるだけ、まだマシなのかもしれない。一緒に付き添ってくれて、ちょっとした旅気分だった。
生前のおじいちゃんは、まだ子供の頃によく色んな遊びをしてくれてたけれど、病気で亡くなってしまったんだっけ。
「あの時が懐かしいのう。おばあさんは元気かのう?」
「おばあちゃん?元気に過ごしてたと思うよ。最近会ってなかったけれど。」
「おばあさんが勇人のお葬式にでるんじゃろうのう、あいや、その…すまん。」
「いいんだよ、おじいちゃん。付き添ってくれるだけありがたいんだからさ。」
やがて、大きな門の前に来ると、おじいちゃんが、「わしが付き添えるのはここまでじゃよ。まぁ勇人ならまた会えるだろうて。」
「ありがとう、おじいちゃん。」
「また会えるだで、心配しなさんな。」
「うん、行ってくる!」
門をくぐると、二人の巨大な仁王像のような存在が番をしていて、ちょっとぎょっとする。
あとは、普通に人が通っているだけなのだが。やがて、赤い絨毯の先に、巨大な机と鏡があり、人が列をなして順番に呼ばれるのを待っているようだ。俺も、列に加わって、順番を待つ。巨大な建物で、巨大な机の上に、金の地に黒い文字で「閻魔大王」と書いてある。
真っ赤な顔に、豊かなひげを蓄えて、恐ろしげだが、俺は特に怖いとは思わなかった。
「次!」
お、俺の番だ。巨大な机の前に置かれた椅子に座り、とりあえず待つ。
「ほぉぉ、お前さんは、生前特に悪いことはしてないようじゃの」
閻魔大王様に言われて「そうですか?俺友達にイタズラしてポケットにカエル入れたりとかしましたけど。」
なんだか不思議なんだが、目の前の鏡にこれまでの生前の出来事が次々に現れる。
「ふぉっふぉっ。そんな事は幼い頃の小さないたずらじゃよ。そのくらいで、地獄に落としたりはせんよ。そうそう、三途の川でおじいさんが待っておったろ。あれものう、本当はいけんのじゃが、お前さんを亡くならならないようにしたかったようじゃの~。善行を積んだお人故、神様が叶えたのじゃろうがのう。」
そうだったんだ。俺は、せっかくのチャンスを、…フイにしちまったんだろうか。
「それで、俺は今後どうしたらいいんですか?」
「お前さんは天国行きじゃよ。あっちの金のドアを通りなされ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
ぺこっと一礼して、ドアをくぐったのだった。
それから、しばらくして、またおじいちゃんに出会うことが出来て、天国での暮らし方を教わったのだった。天国も現世と同じように、家に住んで学校に通ったり、仕事が出来るのだけど仕事はちょっと変わっているものもあるらしい。なんせ、現金も稼がないとそれなりの生活は難しいようだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
俺はその時、物凄く急いでいた。ふいっと何も用意をせずに富士山の朝日が見たくて朝方近くにぶっとばして、見に行ったのだった。でも、今日は平日だったから急いで戻らなくちゃ学校に遅れる。ヤバイ。急いで、バイクにまたがり、エンジンをふかして道を急いだ。それが、そもそもの間違いだった。寝不足で、頭も痛かったせいもあったけれど、ハンドル操作を誤ってしまい、「しまった」とつぶやいた時は事故っていた。
しばらくすると、川のど真ん中だった。
あれ?俺は家に帰ろうとしていたんじゃなかったっけ?まぁ、いいか。すると「ゆうと~、ゆうと~」と、声が聴こえる。川向うは靄がかかってよく見えない。誰だろ?俺を呼ぶのは。
とりあえず、川を渡ってみよう。
川の中ほどで、ようやく人がおぼろげながら見えてきた。
「勇人。こっちきちゃイカンよ~」と声を出しているのはあれ?おじいちゃんじゃんか!
急いで渡りきると「よ!おじいちゃん。元気か?」と声をかけた。
おじいちゃんは、がっくりと肩を落として、
「しまった。声をかけるべきじゃなかったの~」と悲しそうな声だ。
そういえば。「おじいちゃん、亡くなってたよな?元気そうだけど。」
「違うんじゃよ。ここは三途の川じゃ。わしは亡くなっているし、勇人、お前さんも亡くなってしもうとるんよ。」
「何言ってるんだよ、じいちゃん!俺ピンピンしているよ?」
「いや、三途の川を渡ってしまうとのう、死んでしまうんよ。正確には、バイクっちゅうもので交通事故でのう、亡くなったんよ。」
「いやだなぁ、脅かさないでくれよ。夢だろ?どうせ。」
「何度も言っとるがのう、お前さんは死んでしもうたんよ。この先に、地獄の門が続いて閻魔大王様がおるで、話を聞けば分かるじゃろうて。」
「う、嘘だろ?おじいちゃん」現実なのか?これ。
「混乱しとるようだがの、とりあえず、渡ってしまったものは仕方ないのじゃ。先へ行きなされ。」
「嘘だ。絶対夢だ。」バシバシ頬を叩く。夢なら覚めてくれ!頼む。暫く、自分にデコピンしたり痛いことを散々やったけれど、変わらない。確かに、俺は富士山から家に戻る途中だったはずだ。
おじいちゃんが同情して「途中まで、一緒につきそうで、がっかりしなさんなや。」
「おじいちゃん、川を戻っちゃいけないのか?」
「いけない決まりになっておるんよ。だから可哀そうじゃが諦めなされ。」
俺。死んじまったんだ。体に力が入らない。本当なんだろうか。おじいちゃんがいるだけ、まだマシなのかもしれない。一緒に付き添ってくれて、ちょっとした旅気分だった。
生前のおじいちゃんは、まだ子供の頃によく色んな遊びをしてくれてたけれど、病気で亡くなってしまったんだっけ。
「あの時が懐かしいのう。おばあさんは元気かのう?」
「おばあちゃん?元気に過ごしてたと思うよ。最近会ってなかったけれど。」
「おばあさんが勇人のお葬式にでるんじゃろうのう、あいや、その…すまん。」
「いいんだよ、おじいちゃん。付き添ってくれるだけありがたいんだからさ。」
やがて、大きな門の前に来ると、おじいちゃんが、「わしが付き添えるのはここまでじゃよ。まぁ勇人ならまた会えるだろうて。」
「ありがとう、おじいちゃん。」
「また会えるだで、心配しなさんな。」
「うん、行ってくる!」
門をくぐると、二人の巨大な仁王像のような存在が番をしていて、ちょっとぎょっとする。
あとは、普通に人が通っているだけなのだが。やがて、赤い絨毯の先に、巨大な机と鏡があり、人が列をなして順番に呼ばれるのを待っているようだ。俺も、列に加わって、順番を待つ。巨大な建物で、巨大な机の上に、金の地に黒い文字で「閻魔大王」と書いてある。
真っ赤な顔に、豊かなひげを蓄えて、恐ろしげだが、俺は特に怖いとは思わなかった。
「次!」
お、俺の番だ。巨大な机の前に置かれた椅子に座り、とりあえず待つ。
「ほぉぉ、お前さんは、生前特に悪いことはしてないようじゃの」
閻魔大王様に言われて「そうですか?俺友達にイタズラしてポケットにカエル入れたりとかしましたけど。」
なんだか不思議なんだが、目の前の鏡にこれまでの生前の出来事が次々に現れる。
「ふぉっふぉっ。そんな事は幼い頃の小さないたずらじゃよ。そのくらいで、地獄に落としたりはせんよ。そうそう、三途の川でおじいさんが待っておったろ。あれものう、本当はいけんのじゃが、お前さんを亡くならならないようにしたかったようじゃの~。善行を積んだお人故、神様が叶えたのじゃろうがのう。」
そうだったんだ。俺は、せっかくのチャンスを、…フイにしちまったんだろうか。
「それで、俺は今後どうしたらいいんですか?」
「お前さんは天国行きじゃよ。あっちの金のドアを通りなされ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
ぺこっと一礼して、ドアをくぐったのだった。
それから、しばらくして、またおじいちゃんに出会うことが出来て、天国での暮らし方を教わったのだった。天国も現世と同じように、家に住んで学校に通ったり、仕事が出来るのだけど仕事はちょっと変わっているものもあるらしい。なんせ、現金も稼がないとそれなりの生活は難しいようだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
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忘れ形見vol.6その後の私達
作 林柚希
あ、勇人が来た。
優斗だったね。
いいよ、勇人で。
やっと二人そろったね。
この時を待っていたの。
私の人生は充実していたけれど、やっぱり勇人がいなくて寂しかった。
俺も必死に祈って優斗として転生したけれど、あまり意味はなかったな。
ううん、違うよ。すごく嬉しかった。出逢えて、自分の気持ちに決着がつけられた。
でもね、死の淵に立った時、また勇人に逢いたいなぁって思い出したんだよ。
そうか。嬉しいな。俺もそうだったよ。優斗の人生も充実していたけれど、死に際に、今度こそ葵と一緒になりたいと思ったんだ。
嬉しい。ありがとう。今度こそ、同じ年で転生して出逢いたいね。
そう、今度は俺、できれば隣同士で生まれたいな。
今度こそ。
今度こそ…。
神様は贅沢なお願いって言うかな。
神様ならきっと聞き届けてくれるさ。
今も持ってる?あのメガネ。
持っているよ。ほら、これ。
俺はね、それ一番似合っていたけどそういうの、照れ臭かったから渡したんだ。
そうだっけ。
もう、ちゃんと言ったろ~。
まぁまぁ。このメガネに向かってお祈りをしようよ。
そうだね。俺たちにとってピッタリだ。
メガネに向かって、2人がお祈りをするとピカっと光りだした。メガネはすーっと浮き上がるとふっと消えた。メガネは神様の元に届いたようだった。
そなたたちの願い、聞き届けた。
きっと願いに沿うようになるじゃろうて。二人とも、よう頑張ったの。
ありがとうございます、神様。
きっと今度は、一緒だね。
数年後―。
「葵ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「勇人ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「二人とも、ろうそくの火を吹き消して。」
「はーいママ。」
「はーいおかあさん。」
「ふぅ~。」
「ママ、葵、その場所のケーキ食べたい。チョコも忘れないでね。」
「おかあさん、おれも同じ場所がいいな。葵ちゃん、チョコ半分こしようよ。」
「もう!勇人ちゃんすぐマネっこするんだから~。」
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、仲良うやっておるようじゃな。
これで、ええじゃろうて。神様業も肩がこるの。コキコキ。この二人もちゃんと願いどおり転生できたようじゃし、大丈夫じゃろうて。さて、別の場所を視察しようかの。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
お読みいただき、ありがとうございました。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
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物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
あ、勇人が来た。
優斗だったね。
いいよ、勇人で。
やっと二人そろったね。
この時を待っていたの。
私の人生は充実していたけれど、やっぱり勇人がいなくて寂しかった。
俺も必死に祈って優斗として転生したけれど、あまり意味はなかったな。
ううん、違うよ。すごく嬉しかった。出逢えて、自分の気持ちに決着がつけられた。
でもね、死の淵に立った時、また勇人に逢いたいなぁって思い出したんだよ。
そうか。嬉しいな。俺もそうだったよ。優斗の人生も充実していたけれど、死に際に、今度こそ葵と一緒になりたいと思ったんだ。
嬉しい。ありがとう。今度こそ、同じ年で転生して出逢いたいね。
そう、今度は俺、できれば隣同士で生まれたいな。
今度こそ。
今度こそ…。
神様は贅沢なお願いって言うかな。
神様ならきっと聞き届けてくれるさ。
今も持ってる?あのメガネ。
持っているよ。ほら、これ。
俺はね、それ一番似合っていたけどそういうの、照れ臭かったから渡したんだ。
そうだっけ。
もう、ちゃんと言ったろ~。
まぁまぁ。このメガネに向かってお祈りをしようよ。
そうだね。俺たちにとってピッタリだ。
メガネに向かって、2人がお祈りをするとピカっと光りだした。メガネはすーっと浮き上がるとふっと消えた。メガネは神様の元に届いたようだった。
そなたたちの願い、聞き届けた。
きっと願いに沿うようになるじゃろうて。二人とも、よう頑張ったの。
ありがとうございます、神様。
きっと今度は、一緒だね。
数年後―。
「葵ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「勇人ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「二人とも、ろうそくの火を吹き消して。」
「はーいママ。」
「はーいおかあさん。」
「ふぅ~。」
「ママ、葵、その場所のケーキ食べたい。チョコも忘れないでね。」
「おかあさん、おれも同じ場所がいいな。葵ちゃん、チョコ半分こしようよ。」
「もう!勇人ちゃんすぐマネっこするんだから~。」
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、仲良うやっておるようじゃな。
これで、ええじゃろうて。神様業も肩がこるの。コキコキ。この二人もちゃんと願いどおり転生できたようじゃし、大丈夫じゃろうて。さて、別の場所を視察しようかの。
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今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
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物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
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物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.4 その後の俺
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忘れ形見vol.4その後の俺
作 林柚希
いつの間にか、俺は魂になっていた。場所は閻魔大王様の前。
鏡に、岩としての生が映し出されている。
「また、お前さんは順当に岩としての生を終えたが、次の生はどうしたいのかの?」
そうだ!急に思い出した!葵の近くで転生したかったんだ。
「葵の側に転生したいんです。」
「葵さんの側、のう。」
葵さんはのう、もうお前さんの事はあらかた落ち着いて穏やかな毎日を過ごしているんよ?
蒸し返すような事は言わん方がいいと思うがの。」
「それは、その時考えます。だから一生懸命お願いします。また葵の側で転生させてください!」
「どちらにしろのう、葵さんとは20歳以上、年齢差が出ると思うが、それでもいいかの?
それからのう、ひょっとしたら同じ女性として、生まれるかもしれんがそれでも、かの?」
「うっ…。それは…。」
一瞬考えたけど「それでも、かまいません。転生させてください。」
大魔王様もひげを触りながら「お前さんの気持ちはようわかった。あとは必死に祈って毎日天国でしばらく過ごしなされ。」
「さぁ、金のドアをくぐりなされや。」
金のドアをくぐって、またしばらくおじいちゃんと天国で暮らすことになったのだった。
◇【忘れ形見vol.5その後の俺2】
作 林柚希
「お母さん、行ってきまーす!」
「ゆうと、気をつけて行ってらっしゃい」
ぼく、ゆうと。優斗ってかくんだ。かっこいいでしょ?実は誰にもナイショにしているけど、生まれる前の記憶をもっているんだ~。一つ前はただの岩だった。その前は人間。
しかも勇人って書いて「ゆうと」って読む名前の人間だった。その時に、付きあっていた葵って人を探している。神様のおかげで、近くに生まれることができたみたいだけどなかなか会うことが叶わない。でも、いつか、きっと!
とりあえず、公園に行こうっと。
やっと公園の側にやって来て慌てて走る。友達はもう皆集まっているみたいだ。
走ると公園の入り口で、ばしっと人とぶつかってしまった。
「ぼうや、大丈夫?」
あれ?懐かしい声だ。記憶よりちょっと低いかもしれないけれど。
「ぼく、大丈夫です。お姉さんこそ大丈夫?」
「私は大丈夫よ。あら、膝に血が…。」
しゃがんで、かばんからハンカチを出して膝をぽんぽん拭いてくれる。
その時カチャッと音がして何かを落とした。
「あ、メガネが…。」
それはべっこうのメガネだった。このメガネは。ひょっとして…。あれ、葵…?
「あおい?」
「あれ?ぼうや、私の名前を知っているの?」
とっさに「ハンカチに名前書いてあるよ。」
「あら。賢いわね~。」
「お姉さん、メガネ落したよ。」そう言って、ベッコウのメガネを渡した。
「あ、これね、ありがとう。」メガネを受取る葵。懐かしそうな顔をしている。
「違うの、僕ね、ゆうとって言うんだよ。」
「ゆうと…?」
葵は、ちょっと焦点の合わない目線になった。
「懐かしい名前だわね。ぼうや、いい名前だね。」
「違うの。聞いて、葵お姉さん、ぼく交通事故で亡くなった勇人って人の生まれ変わりだよ。」
さすがにびっくりした目をして「あの勇人?まさか!?」
「そのメガネ。知っているよ。昔の恋人の勇人のメガネでしょ?」
「お姉さんをだましたりしないよ?ぼく勇人。ずっとお姉さんの事さがしてたよ。」
じーっと僕を観た後、ちょっと空を見て、葵は
「ちょっと暑い夏の日だから、夢でも見ているのかしら…?」
「夢じゃないよ。お姉さん、葵って呼んでいい?」
「葵さん、にしといて…。ちょっと混乱してしまうね。勇人なのね?」
「そうだよ、葵さん。ぼく今もゆうとって名前なんだよ」
「今も…?」
「そう、優斗って書くんだ。かっこいいでしょ?」地面に書いてにこっと笑った。
「そう、本当に転生したんだね。あれは夢じゃなっ…。」
ちょっと笑いながら泣きそうな顔をしている。
「ごめんなさい、葵さん、知らない方が良かった?」慌てて謝る。
「そんなことないよ、ありがとう、ずっと心配してくれてたんだよね?」
「うん、そう。今は幸せ?」
「毎日忙しいけど、幸せにしているよ。あれからね、私の事が心配でって面倒を見てくれる人がいたりしてね、勇人以外の人にも付きあったりしたの。でも、どこかで勇人に申し訳なくて、なかなか好きになれなかった。それでもね、今は大人になって会社で働く毎日だよ。」
「ぼくはね、必死に願ったんだよ。葵さんの近くに転生できますように、って。
でもね、葵さんに会って満足したよ。今が幸せならいいんだ。」
「勇人…。」
「私も会ってよかった。心のトゲが取れた気がする。ありがとう優斗くん。
そのハンカチ、あげるから家に帰ってちゃんと手当してね。」
「さよなら葵さん。」
「さよなら優斗くん。」
もう、十分。これでよかったんだ。もう、僕は勇人だった頃には戻れないのだから、これでよかったんだ。今の年齢には、不似合いな感慨に浸りながら、家に帰ったのだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
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でも、選外にもれてしまいました。
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物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
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忘れ形見 vol.5 その後の俺2
物語の最後は、こちらになります。
忘れ形見 vol.6 その後の私達
いつの間にか、俺は魂になっていた。場所は閻魔大王様の前。
鏡に、岩としての生が映し出されている。
「また、お前さんは順当に岩としての生を終えたが、次の生はどうしたいのかの?」
そうだ!急に思い出した!葵の近くで転生したかったんだ。
「葵の側に転生したいんです。」
「葵さんの側、のう。」
葵さんはのう、もうお前さんの事はあらかた落ち着いて穏やかな毎日を過ごしているんよ?
蒸し返すような事は言わん方がいいと思うがの。」
「それは、その時考えます。だから一生懸命お願いします。また葵の側で転生させてください!」
「どちらにしろのう、葵さんとは20歳以上、年齢差が出ると思うが、それでもいいかの?
それからのう、ひょっとしたら同じ女性として、生まれるかもしれんがそれでも、かの?」
「うっ…。それは…。」
一瞬考えたけど「それでも、かまいません。転生させてください。」
大魔王様もひげを触りながら「お前さんの気持ちはようわかった。あとは必死に祈って毎日天国でしばらく過ごしなされ。」
「さぁ、金のドアをくぐりなされや。」
金のドアをくぐって、またしばらくおじいちゃんと天国で暮らすことになったのだった。
◇【忘れ形見vol.5その後の俺2】
作 林柚希
「お母さん、行ってきまーす!」
「ゆうと、気をつけて行ってらっしゃい」
ぼく、ゆうと。優斗ってかくんだ。かっこいいでしょ?実は誰にもナイショにしているけど、生まれる前の記憶をもっているんだ~。一つ前はただの岩だった。その前は人間。
しかも勇人って書いて「ゆうと」って読む名前の人間だった。その時に、付きあっていた葵って人を探している。神様のおかげで、近くに生まれることができたみたいだけどなかなか会うことが叶わない。でも、いつか、きっと!
とりあえず、公園に行こうっと。
やっと公園の側にやって来て慌てて走る。友達はもう皆集まっているみたいだ。
走ると公園の入り口で、ばしっと人とぶつかってしまった。
「ぼうや、大丈夫?」
あれ?懐かしい声だ。記憶よりちょっと低いかもしれないけれど。
「ぼく、大丈夫です。お姉さんこそ大丈夫?」
「私は大丈夫よ。あら、膝に血が…。」
しゃがんで、かばんからハンカチを出して膝をぽんぽん拭いてくれる。
その時カチャッと音がして何かを落とした。
「あ、メガネが…。」
それはべっこうのメガネだった。このメガネは。ひょっとして…。あれ、葵…?
「あおい?」
「あれ?ぼうや、私の名前を知っているの?」
とっさに「ハンカチに名前書いてあるよ。」
「あら。賢いわね~。」
「お姉さん、メガネ落したよ。」そう言って、ベッコウのメガネを渡した。
「あ、これね、ありがとう。」メガネを受取る葵。懐かしそうな顔をしている。
「違うの、僕ね、ゆうとって言うんだよ。」
「ゆうと…?」
葵は、ちょっと焦点の合わない目線になった。
「懐かしい名前だわね。ぼうや、いい名前だね。」
「違うの。聞いて、葵お姉さん、ぼく交通事故で亡くなった勇人って人の生まれ変わりだよ。」
さすがにびっくりした目をして「あの勇人?まさか!?」
「そのメガネ。知っているよ。昔の恋人の勇人のメガネでしょ?」
「お姉さんをだましたりしないよ?ぼく勇人。ずっとお姉さんの事さがしてたよ。」
じーっと僕を観た後、ちょっと空を見て、葵は
「ちょっと暑い夏の日だから、夢でも見ているのかしら…?」
「夢じゃないよ。お姉さん、葵って呼んでいい?」
「葵さん、にしといて…。ちょっと混乱してしまうね。勇人なのね?」
「そうだよ、葵さん。ぼく今もゆうとって名前なんだよ」
「今も…?」
「そう、優斗って書くんだ。かっこいいでしょ?」地面に書いてにこっと笑った。
「そう、本当に転生したんだね。あれは夢じゃなっ…。」
ちょっと笑いながら泣きそうな顔をしている。
「ごめんなさい、葵さん、知らない方が良かった?」慌てて謝る。
「そんなことないよ、ありがとう、ずっと心配してくれてたんだよね?」
「うん、そう。今は幸せ?」
「毎日忙しいけど、幸せにしているよ。あれからね、私の事が心配でって面倒を見てくれる人がいたりしてね、勇人以外の人にも付きあったりしたの。でも、どこかで勇人に申し訳なくて、なかなか好きになれなかった。それでもね、今は大人になって会社で働く毎日だよ。」
「ぼくはね、必死に願ったんだよ。葵さんの近くに転生できますように、って。
でもね、葵さんに会って満足したよ。今が幸せならいいんだ。」
「勇人…。」
「私も会ってよかった。心のトゲが取れた気がする。ありがとう優斗くん。
そのハンカチ、あげるから家に帰ってちゃんと手当してね。」
「さよなら葵さん。」
「さよなら優斗くん。」
もう、十分。これでよかったんだ。もう、僕は勇人だった頃には戻れないのだから、これでよかったんだ。今の年齢には、不似合いな感慨に浸りながら、家に帰ったのだった。
この作品も、とある編集部へ送った投稿作品です。
以前に送った作品は、規定枚数を超えていたので、
今回は超えないように、四苦八苦して書いた作品です。
でも、選外にもれてしまいました。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。
物語の初めは、こちらになります。
忘れ形見 vol.1 亡くなった彼氏
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.2 その時俺は
物語の続きは、こちらになります。
忘れ形見 vol.3 死んだ俺は
物語の続きは、こちらになります。
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物語の続きは、こちらになります。
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物語の最後は、こちらになります。
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