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●詩、小説●
2024-03-06 10:51:39ヘンゼルとグレーテルno.5 -家畜小屋-
翌朝、魔女であるカミラは、ヘンゼルを起こすと、こう言いました。
カミラ「起きたかい?」
ヘンゼル「起きたよ。カミラさん。おはよう。」
カミラ「おはようさね。ちょっと家畜小屋までついてきてくれるかい?」
ヘンゼル「いいですよ。」
カミラ「家畜に餌をやって欲しいんだよ。家畜当番になってほしくてね。」
ヘンゼル「僕やったことが無くて。」
カミラ「それは教えるから大丈夫さね。これから行くよ。」
カミラは、ヘンゼルを先導するとびっこを引きながら家畜小屋まで歩いて行った。
家の外に出ると、食べたはずのお菓子の家は、元通りのお菓子の家になっていた。
カミラ「家畜小屋だよ。ああ、まずね掃除も頼むさね。」
ヘンゼル「わかったよ、カミラさん。」
カミラ「この小部屋の掃除を頼む。」
ヘンゼル「ここだね。」
ヘンゼルがその小部屋の奥に入ると、そこにはなぜか簡素なベッドがあった。
家畜小屋に何で?と思った途端、ガチャリとかんぬきの降りる音がした。
ヘンゼルは小部屋に閉じ込められてしまいました。
ヘンゼル「カミラさん!どういうこと?」
カミラ「なに、家畜小屋はお前の為の小屋でもあるさね。」
ヘンゼル「僕の為?僕をどうするの?」
カミラ「簡単なことさ。食べるんだよ。」
イーヒヒッヒ、と笑いながらカミラは家畜小屋を後にした。
悲鳴めいたヘンゼルのテレパシー通信を聞いて、グレーテルは恐ろしくなってガタガタと震えていました。
カチャ、と家のドアが閉まる音を聞くとグレーテルは急いで眠っているフリをしました。
しばらく経つと、カミラがやってきて、グレーテルを叩きおこしました。
カミラ「ホラ、いつまで寝ているつもりさね。さっさとおし!」
グレーテル「はい…。」
カミラ「おや、起きていたのかい。」
グレーテル「ヘンゼルはどうしたの?」
カミラ「ああ、食べるのさ。今閉じ込めてきたさね。」
グレーテル「そんな…。」
カミラ「そのためには太らせなくてはね。お前は食事当番さね。」
グレーテル「そんなこと止めて!カミラさん。」
カミラ「そうはいかないよ。さぁ、食事を作る時間さね。」
グレーテルは思わず、神様、と十字を胸の前で切ると、カミラは嫌そうな顔をしました。
それから、普通の食事ではなく、上等の食事を作るよう、カミラが命じると、グレーテルは泣きながら作ったのでした。
そして、二人の秘密のテレパシー通信で励まし合ったのです。
事のあらましを聞いたヘンゼルも青ざめましたが、小屋の中で身体を鍛えるから大丈夫だよ、とグレーテルに言い聞かせました。
それから、毎日グレーテルは上等の食事を作っていました。
そして、ヘンゼルの太り具合を確かめる為、家畜小屋に来たカミラはかんぬきの降りたドアの前に立つと、言ったのです。
「太り具合を確かめるから指を触らせろ」と。
ヘンゼルは考えて、食事で出ていた鶏肉の骨をドアの隙間から差し出してみました。
目の悪いカミラはそれが鶏肉の骨とわからなかったようです。
骨を触って、「まだまださね。」と言って首を振っていました。
毎日太り具合を確かめるカミラでしたが、鶏肉の骨で自らを守るヘンゼルに不思議に思っていました。なかなか太らないさね、と。
そして、約4週間たった頃、カミラはグレーテルに言いました。
カミラ「グレーテル、大鍋を用意しな!」
グレーテル「なんで大鍋なんて…。」
カミラ「もう待ってられないさね。ヘンゼルを食うよ!」
グレーテル「そんな…。待ってください。まだ、まだ太ってないでしょう?」
カミラ「いいさね。もう太っているかもしれないから。」
翌朝、カミラは大鍋に湯を沸かすように、グレーテルに命じたのでした。
※よく言われる所の童話「ヘンゼルとグレーテル」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。
物語の初めは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.1 -白く光る小石-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.2 -辿るパンくず-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.3 -お菓子の家-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.4 -老婆の魔女-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.5 -家畜小屋-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.6 -宝物-」
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