詩、小説
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Editer:snow Date:2025-06-18 08:39

作 林柚希
今は、初夏の夜
都内の植物園で蛍の見学会のスタッフと友達で
たまに出かけては手伝いをしている
少し前まで、OLとして働いていたが
とある理由で辞めてしまった
まぁ、貯金もある事だし、雇用保険もあるので
わりとのんびりと、次の就職活動をしている
それに、友達の誘いで蛍の舞う見学会を見て
すっかり気に入ってしまったのだった
ある時、「見学会を見に来たんですが、よくわからなくて」
という男性が訪ねてきた
「場所はここであっていますよ
ご案内しますね」
男性を見ると外国の方?
顔のほりが深くて、目は茶色
鼻がすっとしていて、唇はきりっとひきむすんでいる
「日本語はわかりますか?」
男性はくすっと笑って
「これでも日本人ですよ
ハーフですけどね」
「あ、そうでしたか
失礼致しました」
「どうぞこちらへ」
中へ案内しながら
「日本にもホタルは幾種類か生息していますが
こちらには、主にゲンジボタルが生息しています」
すいっと光が通過していく
「これはすごいですね」
「そうでしょう?
私もまだスタッフとしては日が浅いんですけど
すっかりここに魅入られてしまってね」
涼やかな虫の音の中、狭い田んぼや庭をぬって
光がすっ、すっと舞っている
「蛍というのは発光する理由として
敵を脅かすためや、食べるとまずいと主張している
という説もありますが、大方配偶者を探すために
発光しているそうですよ」
なぜだか男性はギクっとした様子だったけど
「ほぅ、そうですか」
と何かを感心しているようだった
「ところで名前をうかがってもいいですか?」
「私はユーリといいます」
「私ははるみ。晴れるに美術の美と書きます」
「私は理由という単語の漢字が逆さまになっているんですよ」
「変わったお名前ですね~」
「そうですか?」
「あまり聞きませんよね
「どこの国の方とのハーフなんですか?」
「日本とイギリスです」
「そうでしたか」
「でも、イギリスでの思い出はほぼなくてね
「日本でいきなり英語で話しかけられても困るんですよ」
私もちょっと笑って「それはそうでしょうね」
ほぼ、ひと巡りして
「また来ますね」
「ええ、ぜひ、いらしてくださいね」
ユーリさんが帰った後
「なになに、今の外人さん、けっこうイケメンじゃん」
「まぁまぁ、お客さんだから」
「すみに置けないなぁ。このこのっ」
「また来るって言っていたよ」
「良かったね~」
スタッフの友達に散々ひやかされてしまった
ユーリさんは、ちょくちょく来るようになったので
私も、植物園に足しげく通うようになった
ユーリさんは、物静かだけれどどこか天然で
くすっと笑ってしまう
なんだか一緒にいて、こっちが和んでしまう
いつしか、蛍の見学会も終わってしまっていたが
ユーリさんから連絡先を教えてもらって
私的に会うことが増えたのだが、なぜか夜ばかりだった
「ユーリさん、たまには昼に会いましょうよ」
「いや、私は昼間はフリーのライターをしていて
夜型生活をしているものだから昼間は仕事中か寝ていることが多いんですよ」
「そうでしたか
そうだ、私も、本格的に就職活動しなくちゃ
いい仕事先ないかなぁ~」
「私でよければ、仕事先を紹介しますよ」
「え!?ホントに?」
「ええ、もしよければ、ですけどね」
それは探偵社の事務だった。
TV番組でも面白そうと思って二つ返事で引き受けたのだったが
ホントにコピー取りや、伝票整理や電話取りくらいで
尾行や変装とか待ち伏せとかに、引っ張り出されることは全く無かったので
正直、ガッカリしたのだった
物語の初めは、こちらになります。
蛍火の夜vol1 蛍に逢いに
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol2 ユーリさんに逢って
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol3 ユーリさんを知って
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol4 長い夜を越えて
物語の最後は、こちらになります。
蛍火の夜vol5 日差しを受けて
蛍火の夜 vol.1 蛍に逢いに

作 林柚希
今は、初夏の夜
都内の植物園で蛍の見学会のスタッフと友達で
たまに出かけては手伝いをしている
少し前まで、OLとして働いていたが
とある理由で辞めてしまった
まぁ、貯金もある事だし、雇用保険もあるので
わりとのんびりと、次の就職活動をしている
それに、友達の誘いで蛍の舞う見学会を見て
すっかり気に入ってしまったのだった
ある時、「見学会を見に来たんですが、よくわからなくて」
という男性が訪ねてきた
「場所はここであっていますよ
ご案内しますね」
男性を見ると外国の方?
顔のほりが深くて、目は茶色
鼻がすっとしていて、唇はきりっとひきむすんでいる
「日本語はわかりますか?」
男性はくすっと笑って
「これでも日本人ですよ
ハーフですけどね」
「あ、そうでしたか
失礼致しました」
「どうぞこちらへ」
中へ案内しながら
「日本にもホタルは幾種類か生息していますが
こちらには、主にゲンジボタルが生息しています」
すいっと光が通過していく
「これはすごいですね」
「そうでしょう?
私もまだスタッフとしては日が浅いんですけど
すっかりここに魅入られてしまってね」
涼やかな虫の音の中、狭い田んぼや庭をぬって
光がすっ、すっと舞っている
「蛍というのは発光する理由として
敵を脅かすためや、食べるとまずいと主張している
という説もありますが、大方配偶者を探すために
発光しているそうですよ」
なぜだか男性はギクっとした様子だったけど
「ほぅ、そうですか」
と何かを感心しているようだった
「ところで名前をうかがってもいいですか?」
「私はユーリといいます」
「私ははるみ。晴れるに美術の美と書きます」
「私は理由という単語の漢字が逆さまになっているんですよ」
「変わったお名前ですね~」
「そうですか?」
「あまり聞きませんよね
「どこの国の方とのハーフなんですか?」
「日本とイギリスです」
「そうでしたか」
「でも、イギリスでの思い出はほぼなくてね
「日本でいきなり英語で話しかけられても困るんですよ」
私もちょっと笑って「それはそうでしょうね」
ほぼ、ひと巡りして
「また来ますね」
「ええ、ぜひ、いらしてくださいね」
ユーリさんが帰った後
「なになに、今の外人さん、けっこうイケメンじゃん」
「まぁまぁ、お客さんだから」
「すみに置けないなぁ。このこのっ」
「また来るって言っていたよ」
「良かったね~」
スタッフの友達に散々ひやかされてしまった
ユーリさんは、ちょくちょく来るようになったので
私も、植物園に足しげく通うようになった
ユーリさんは、物静かだけれどどこか天然で
くすっと笑ってしまう
なんだか一緒にいて、こっちが和んでしまう
いつしか、蛍の見学会も終わってしまっていたが
ユーリさんから連絡先を教えてもらって
私的に会うことが増えたのだが、なぜか夜ばかりだった
「ユーリさん、たまには昼に会いましょうよ」
「いや、私は昼間はフリーのライターをしていて
夜型生活をしているものだから昼間は仕事中か寝ていることが多いんですよ」
「そうでしたか
そうだ、私も、本格的に就職活動しなくちゃ
いい仕事先ないかなぁ~」
「私でよければ、仕事先を紹介しますよ」
「え!?ホントに?」
「ええ、もしよければ、ですけどね」
それは探偵社の事務だった。
TV番組でも面白そうと思って二つ返事で引き受けたのだったが
ホントにコピー取りや、伝票整理や電話取りくらいで
尾行や変装とか待ち伏せとかに、引っ張り出されることは全く無かったので
正直、ガッカリしたのだった
物語の初めは、こちらになります。
蛍火の夜vol1 蛍に逢いに
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol2 ユーリさんに逢って
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol3 ユーリさんを知って
物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol4 長い夜を越えて
物語の最後は、こちらになります。
蛍火の夜vol5 日差しを受けて
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