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Editer:snow Date:2025-06-20 07:49

蛍火の夜 vol.3 ユーリさんを知って



作 林柚希

「私の血が欲しかったの?」

ちょっと悲しそうな顔をしたユーリさんは
「違いますよ、普通の男女として一夜を過ごしたかっただけですよ
いづれは本当のことを言うつもりでしたけれどね
私の事が嫌になりましたか?」

「混乱はしたけれど、私は…」
「私は?」
「私はユーリさんの事を信じます
今まで嘘をついたことのないユーリさんが言うのなら
本当の事なんでしょう?
でも、なぜだか怖くない
血をあげられるかは、わからないけど…」

「血の事を考えなくていいですよ
さぁ、そばに来て」
おっかなびっくり側によると
いきなりお姫様だっこされてベットまで連れて行かれて
そのまま一晩過ごしたのだった
もちろん、血を吸われるようなこともなかった


朝、目が覚めると
ユーリさんはいなくて
手紙で
「すまない、昼間は送ってあげられないんだ
愛しているよ」
とだけ、走り書きがしてあった

昨日の格好に急いで着替えて
あ、今日は休みの日だっけ
とりあえず、朝食はカフェで済ませて帰ったのだった

ユーリさんはバンパイア…だって
今でも信じられないけれど
でも、ユーリさんを嫌いにはなれそうにない
正直夜にしか逢えないなんて
面倒だし、おっかない部分もあるような気がするけど
それでも、やっぱり拒絶する気にはなれなかった
とりあえず、お母さんは日本人なんだって言うし
きっと普通の人だったんだろうから
話を聞いて、対策を考えよう
そうしよう

また、夜にユーリさんに逢った
最初からユーリさんの自宅にまた招待されたので
今日は着替えを持って普通に出かけたのだった

「今日は映画でも見ようか」
「どんな映画ですか?」
「どんな映画がいいですか?」
「そうですね、ラブコメとか」

「インタビュー・ウィズ・バンパイアはどうですか?」
「…本気ですか?」

「いや、冗談です」
なんだ、冗談かぁ
「びっくりしたなぁ、もう」

「実はジャッキーチェンが好きなんですよ」
「はぁ」
「晴美さんは嫌いですか?」
「いえ、あまり観たことが無くて」
「それなら、今夜はジャッキー・チェン祭りということで」
なんだか可笑しい
くすくす笑いながら

「バンパイアってコメディ映画好きなんですか?」
「いや、それは私だけですよ
私の好みですから、いいでしょう?」
「そうですね」

今度は思い切って二人一緒にお風呂に入って
その後、バスローブを着て
シャンパンを飲みながら
一緒に映画を楽しんだ
「いや~、カンフー映画って面白いですね」
「そうでしょう」
「私、他のも観たくなっちゃった」
どれ、じゃ、探しますか

「そういえば、中国ってキョンシーって映画あったけど
バンパイアとも親しいんですか?」
「さぁ?中国に渡ったことはないですからねぇ」

しばらく映画を観て
「あ~面白かった!
こんなに笑ったのって久しぶりですよ」
「それは、よかった
また観ましょうね」

また一晩、今度はお父さんの事やお母さんの事
バンパイアの事、イギリスの事を少し
色々な事を語り明かしたのだった


物語の初めは、こちらになります。
蛍火の夜vol1 蛍に逢いに

物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol2 ユーリさんに逢って

物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol3 ユーリさんを知って

物語の続きは、こちらになります。
蛍火の夜vol4 長い夜を越えて

物語の最後は、こちらになります。
蛍火の夜vol5 日差しを受けて

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