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Editer:snow Date:2025-08-24 00:46

バドミントン同好会5 -丸く収まって-



作 林柚希

次の日。
朝、気恥ずかしくって早く出ようと思ったのに。

もう、孝太郎が家の前にいた!
「よ!」

「お、おはよう。」
「おはよう。」

「昨日の事、忘れてないよな?」
「昨日の今日で忘れるわけないでしょう?」

孝太郎は頭をぽりぽりかきながら。
「そりゃそうだ。」
なんだか納得している。
「俺達、公認でいいんだよな?」
「そんなの、誰に言うの~?」
「そうだな、友達とか。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「お前は言う相手、いないのかよ。」
「同じクラスの友達くらい?」

「でも、同好会のメンバーはどうしよっか。」
「あ、それ、俺もう言ったから。」

ぎょっとした。
「え!?早いよ。何時言ったの?」

「ん、昨日たまたま電話しててさ。」
「それ、偶然なの?」

「まぁま、いいからいいから。あ、顔にごみついてる。」
「え?そうなの?取って、取って。」

って、またキスされた!
「もう、孝太郎!」
引っかかった、私がバカだった。
「もう、もう!」

してやったり顔で、孝太郎は。
「あまり、もうもう言ってると牛になるぞ。」

「ふんだ!」
「よしよし。」
頭をくりくり撫でられて、怒っていいやら照れていいやら困ってしまう。

「とりあえず朝練、行かなくちゃ!」
「まだ余裕、あるだろ。」
「でもさ、一年生が気になるよ。」
「あいつらなら、たぶん今日は休みじゃないか?」
「やっぱり?でも、一応念のため、早めに行って待っててあげた方が良くないかな。」
「大丈夫だと思うけどな。」

ひと呼吸置いて、私を見つめて孝太郎がボソっと言った。
「俺、本気だからな。忘れるなよ!」


学校に着いて、朝練に励んでいたけれど、結局、来なかった。
やっぱり、失恋の痛手って深いものなのかな?
それどころか、「辞めます」って言われたらどうしよ。

ところが、なんとまた、入部希望者が現れた!
しかも二人の一年生男子だった。
ちゃんとしたルールは知らないけれど、バドミントンで遊んだことはあるらしい。

これは、何とかなるかも。
と思っていたら、後輩の一年生の女の子が、やっとやってきた。

「先輩、休んでしまってすみません。」
「いえ、いいんだけど、大丈夫?」
「はい、なんとか…。」

良く見ると、瞼が腫れぼったい感じがする。
泣きはらした後だろうか?

「先輩、実は…。」
後輩の女の子たちが言い始めた途中で。

「あ、同学年の先輩がいたんだ。よろしくね、俺達今日入ったばかりで。」

一年生の女の子たちも、かなりびっくりしたようで。
「え!?今日入ったの?私たちは1ヶ月前に入ったばかりだけど。」

「そうなんだ。バドミントンて面白いよね。最初は足引っ張るかもしれないけど、よろしくね。」

「はい、こちらこそ…。」

私も間に入って、
「それで、何を言いかけたの?」

「あ、いえ。もう少し考えます。」

はは~。ナルホド。
後から入った男の子たち、けっこうイケメンだよね。
これで、辞めないでもうちょっといて彼氏が出来ないか、考えてるのかな?

まぁ、私としては、同好会が存続してくれれば願ったりかなったりなんだけど。
孝太郎は孝太郎で、上機嫌で素振りの練習をしている。
あれも、一応、彼氏、なんだよね?

あ。
やめよ。
なんか照れくさくなってきた。

今日は同じクラスの友達とお昼を一緒に食べて、孝太郎の話を報告することになったのだけど、冷やかされて、羨ましがられた。
まぁ、「やっぱりね」とも言われたんだけど。
「幼馴染の男女で高校まで一緒って無いでしょ、普通。」
とまで言われた。
そうかな。
ま、いいか。

顧問の先生には、入部希望者がまた増えたことも報告できるし。
私は、ほんと、嬉しい。
男子も入ってくれたから、部に昇格できるかもしれない。
でも、あの先生、正直やる気がイマイチな気もするが、なんとかなるかな。

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