詩、小説
オリジナルな詩と小説達
Editer:snow Date:2025-10-30 14:56

作 林柚希
「そんな」父さんは絶句して、倒れた僕とケーを呆然と見ていたのだった。
母さんは、黄色い光に包まれた僕とケーに触ることもできずに、やはり呆然としていた。
ノヴァさんは、黄色い光をよけた後、魔法の剣に呪文をかけ、黄色い光を消し去った。
まともに、黄色い光に当たってしまったのは、僕とケーだけのようだった。
そして、僕とケーを包む黄色い光が消えた時。
皆が一様に呆然と見る中、僕とケーの体は小さくなり、そして母さんも気絶したのだった。
気づくと、僕はケーと共に僕の家の一角にいるようだった。
一角、と言うのは、とても巨大な空間だったからだ。
でも、巨大なルーカスが僕の机の上と思われる所でスヤスヤ寝ている。
机には、大きなクリスマスツリーがある。
そういや、クリスマス近かったな。
僕はそんなことをツラツラ考えていた。
そうしたら、「キャー」という叫び声がして、思わず振り返ったら籐のカゴの中で寝ていたケーが目覚めたようだった。
「ケー。ごめんね。」僕は気づいたら謝っていた。守り切れなくてごめん。
「あ。トゥルーだね。なにを謝るの?」ケーは半ばわかっていても一応訊いたようだった。
「うん。守り切れなくてごめんな。」ケーの手を握りしめて言った。…そうだ。僕達は。
「ううん。いいんだよ。私達この件から降りればよかったね。」ケーもすまなそうに言った。
「いや、いいんだよ。皆で決めたんだしさ。」そうだよ、それよりも。
「それよりさ。僕達勝ったのかな?僕達気絶したんだよね?」僕はこの疑問が気になる。
「そうだね。トゥルーのお父さんやお母さんやワンダリング先生、ノヴァさんどうしたのかな?」ケーもにわかに状況が気になってきたようだった。
(トゥルー、ケーちゃん、目が覚めたようね。)母さんだ。どうして姿を現さないんだろう。それに心の通信だなんて、なんで?
(目が覚めたよ。母さん、どこにいるの?)僕は当然の疑問を口にした。
(私は、台所よ。父さんは居間にいるわよ。ワンダリング先生とノヴァさんはね、一旦帰ったの。)母さんは、ちょっと疲れたように言っていた。
(あの、私達は勝ったんですか?)ケーも疑問を言っていた。そうだよ、それは僕も気になる。
(大勝ちしたのよ。誰も死ななかったんだから。)母さんは、明るい声で言っていた。
僕達は、母さんの答えを聞いて、思わず「勝った~!」とケーと二人で喜び合った。
(そっか。勝ったんだね。良かった!それで、あのあとどうしたの?)僕は、聞きたくない気もしたけど、一応聞いた。
(あなた方が気絶したあとね。あなた方は小さくなって…5cmほどになったのよ。)母さんは、疲れた声で言った。
(その場にいた全員が物凄く驚いて…、実は私も気絶してしまったの。ショックが大きくてね。)母さんも…そっかショックだったのか。
(お父さんに訊いたんだけど、ワンダリング先生があなた方を手のひらに乗せてテレポートして家に帰ったの。街中なんて危なくてってことでね。)
(そう…だったんだ。ノヴァさんは?)僕は、ひたひたと迫る絶望感をどうすることもできなかった。でも!
(ノヴァさんはね、あの黄色い光を調べるって言っていたよ。あれでも、60代のおばあちゃんなのって言っていたわよ。任せてって、言っていたわよ。)
(60代?とてもそうは見えませんね。教えてくださってありがとうございます。それで、今はいつの何時ごろなんですか?)ケーも同じ気持ちなんだろう、声が暗かった。
(それがね、あなた方は一晩ぐっすり眠っていたの。次の日の朝なのよ。)母さんもどうしてよいやらわからないようだった。
(そっか。ありがとう。でもね、姿を現してくれる?やっぱり心の通信だけだと心もとなくて。)僕もどうしてたらいいか、頭を抱えたい気分だ。だけどケーは守らなきゃ。それだけは変わらない。
(そうね。…あとでね、朝食を持っていくわね。どうやって持っていこうかしら。)母さんも、あまり頭が回らないようだった。
(他に聞きたいことが無ければ、心の通信は切るわよ?)
(うん、無い。ケーは?)
(私もないよ。ありがとうございます、トゥルーのお母さん。)
(いいわよ。じゃ、あとでね。)
心の通信は切れた。
そして、視線を感じてその先を追うとルーカスがじいっと僕達を見ているようだった。
「ひょっとして、トゥルーとケーかい?」
「そうだよ、僕トゥルーと彼女はケーだよ。」僕もなんだか疲れてしまった。…どうしよう、これから。
「どうしたの、その姿は?」ルーカスの疑問はごもっともだった。これまで僕達にあったことをかいつまんで説明した。
「そんなことがあったの?びっくりだねぇ。」ルーカスはのんびりと言った。
「だから、この先どうしたらよいやら…。」僕は頭がフリーズしてなにも思い浮かばなかった。
「そうだよね。どうしよう、お父さんにもお母さんにも会えないよ。」ケーは泣き顔になりそうだった。ああ、もう。
「…、そうだね、解決策は2、3あるかも。」ルーカスは思案顔で答えていた。
「そうだよね、解決策は…。解決策!?」僕はびっくりした!今、目が覚めた感じだ!!
「ようするに呪文の光を浴びたんだろう?」ルーカスはなんだか得意げだ。
「そうだね。」僕は驚いている。ケーは…、けーはあまり聞いていないようだ。
「ケー聞いてる?解決策あるかもって、ルーカスが言っているよ!!」僕の声に驚き、ケーは目をひん剥いてルーカスを無言で見ている。
「どういうこと?」ケーは小さく言った。
「うん、呪文にかかっているなら、解除すればいいんじゃないかってね。」ルーカスは答えた。
「それにね、小さくなったんなら。今度は大きくなる呪文をかけるのも手なんでは?」またもやルーカスが解決策を口にした。
「その”黄色い光”が呪いだったとしても、解除と言う意味では同じことさ。」ルーカスの答えに驚き過ぎて、僕もケーも口をパクパクしていた。
その時、キイッと巨大なドアの軋む音がして、ドアの向こうから巨大な人が入って来た。
「話は聞いたわよ」ちょっと母さんの声は大きい。そっか、やっぱり、母さんなんだね。
「呪文は解除すればいい。…確かにその通りね。それに大きくする呪文はあったと思うわよ。」母さんの声は心なしか弾んでいたのだった。
物語の初めは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-01 ワンダリング先生との打ち合わせ]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-02 ケーとの話し合い]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-03 同じ日の夜、僕の家にて]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-04 打ち合わせとプラス宣戦布告]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-05 ワンダリング先生の渡してきた本]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-06 戦いの準備]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-07 闇協会の支部での戦い1]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-08 戦いその2]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-09 戦いの終わり、そして]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-10 調べてまわって]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-11 風変わりな依頼]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-12 新たな戦い]
物語の最後は、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-13 最後の戦い、そして]
バーチャル学校vol4-09戦いの終わり、そして

作 林柚希
「そんな」父さんは絶句して、倒れた僕とケーを呆然と見ていたのだった。
母さんは、黄色い光に包まれた僕とケーに触ることもできずに、やはり呆然としていた。
ノヴァさんは、黄色い光をよけた後、魔法の剣に呪文をかけ、黄色い光を消し去った。
まともに、黄色い光に当たってしまったのは、僕とケーだけのようだった。
そして、僕とケーを包む黄色い光が消えた時。
皆が一様に呆然と見る中、僕とケーの体は小さくなり、そして母さんも気絶したのだった。
気づくと、僕はケーと共に僕の家の一角にいるようだった。
一角、と言うのは、とても巨大な空間だったからだ。
でも、巨大なルーカスが僕の机の上と思われる所でスヤスヤ寝ている。
机には、大きなクリスマスツリーがある。
そういや、クリスマス近かったな。
僕はそんなことをツラツラ考えていた。
そうしたら、「キャー」という叫び声がして、思わず振り返ったら籐のカゴの中で寝ていたケーが目覚めたようだった。
「ケー。ごめんね。」僕は気づいたら謝っていた。守り切れなくてごめん。
「あ。トゥルーだね。なにを謝るの?」ケーは半ばわかっていても一応訊いたようだった。
「うん。守り切れなくてごめんな。」ケーの手を握りしめて言った。…そうだ。僕達は。
「ううん。いいんだよ。私達この件から降りればよかったね。」ケーもすまなそうに言った。
「いや、いいんだよ。皆で決めたんだしさ。」そうだよ、それよりも。
「それよりさ。僕達勝ったのかな?僕達気絶したんだよね?」僕はこの疑問が気になる。
「そうだね。トゥルーのお父さんやお母さんやワンダリング先生、ノヴァさんどうしたのかな?」ケーもにわかに状況が気になってきたようだった。
(トゥルー、ケーちゃん、目が覚めたようね。)母さんだ。どうして姿を現さないんだろう。それに心の通信だなんて、なんで?
(目が覚めたよ。母さん、どこにいるの?)僕は当然の疑問を口にした。
(私は、台所よ。父さんは居間にいるわよ。ワンダリング先生とノヴァさんはね、一旦帰ったの。)母さんは、ちょっと疲れたように言っていた。
(あの、私達は勝ったんですか?)ケーも疑問を言っていた。そうだよ、それは僕も気になる。
(大勝ちしたのよ。誰も死ななかったんだから。)母さんは、明るい声で言っていた。
僕達は、母さんの答えを聞いて、思わず「勝った~!」とケーと二人で喜び合った。
(そっか。勝ったんだね。良かった!それで、あのあとどうしたの?)僕は、聞きたくない気もしたけど、一応聞いた。
(あなた方が気絶したあとね。あなた方は小さくなって…5cmほどになったのよ。)母さんは、疲れた声で言った。
(その場にいた全員が物凄く驚いて…、実は私も気絶してしまったの。ショックが大きくてね。)母さんも…そっかショックだったのか。
(お父さんに訊いたんだけど、ワンダリング先生があなた方を手のひらに乗せてテレポートして家に帰ったの。街中なんて危なくてってことでね。)
(そう…だったんだ。ノヴァさんは?)僕は、ひたひたと迫る絶望感をどうすることもできなかった。でも!
(ノヴァさんはね、あの黄色い光を調べるって言っていたよ。あれでも、60代のおばあちゃんなのって言っていたわよ。任せてって、言っていたわよ。)
(60代?とてもそうは見えませんね。教えてくださってありがとうございます。それで、今はいつの何時ごろなんですか?)ケーも同じ気持ちなんだろう、声が暗かった。
(それがね、あなた方は一晩ぐっすり眠っていたの。次の日の朝なのよ。)母さんもどうしてよいやらわからないようだった。
(そっか。ありがとう。でもね、姿を現してくれる?やっぱり心の通信だけだと心もとなくて。)僕もどうしてたらいいか、頭を抱えたい気分だ。だけどケーは守らなきゃ。それだけは変わらない。
(そうね。…あとでね、朝食を持っていくわね。どうやって持っていこうかしら。)母さんも、あまり頭が回らないようだった。
(他に聞きたいことが無ければ、心の通信は切るわよ?)
(うん、無い。ケーは?)
(私もないよ。ありがとうございます、トゥルーのお母さん。)
(いいわよ。じゃ、あとでね。)
心の通信は切れた。
そして、視線を感じてその先を追うとルーカスがじいっと僕達を見ているようだった。
「ひょっとして、トゥルーとケーかい?」
「そうだよ、僕トゥルーと彼女はケーだよ。」僕もなんだか疲れてしまった。…どうしよう、これから。
「どうしたの、その姿は?」ルーカスの疑問はごもっともだった。これまで僕達にあったことをかいつまんで説明した。
「そんなことがあったの?びっくりだねぇ。」ルーカスはのんびりと言った。
「だから、この先どうしたらよいやら…。」僕は頭がフリーズしてなにも思い浮かばなかった。
「そうだよね。どうしよう、お父さんにもお母さんにも会えないよ。」ケーは泣き顔になりそうだった。ああ、もう。
「…、そうだね、解決策は2、3あるかも。」ルーカスは思案顔で答えていた。
「そうだよね、解決策は…。解決策!?」僕はびっくりした!今、目が覚めた感じだ!!
「ようするに呪文の光を浴びたんだろう?」ルーカスはなんだか得意げだ。
「そうだね。」僕は驚いている。ケーは…、けーはあまり聞いていないようだ。
「ケー聞いてる?解決策あるかもって、ルーカスが言っているよ!!」僕の声に驚き、ケーは目をひん剥いてルーカスを無言で見ている。
「どういうこと?」ケーは小さく言った。
「うん、呪文にかかっているなら、解除すればいいんじゃないかってね。」ルーカスは答えた。
「それにね、小さくなったんなら。今度は大きくなる呪文をかけるのも手なんでは?」またもやルーカスが解決策を口にした。
「その”黄色い光”が呪いだったとしても、解除と言う意味では同じことさ。」ルーカスの答えに驚き過ぎて、僕もケーも口をパクパクしていた。
その時、キイッと巨大なドアの軋む音がして、ドアの向こうから巨大な人が入って来た。
「話は聞いたわよ」ちょっと母さんの声は大きい。そっか、やっぱり、母さんなんだね。
「呪文は解除すればいい。…確かにその通りね。それに大きくする呪文はあったと思うわよ。」母さんの声は心なしか弾んでいたのだった。
物語の初めは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-01 ワンダリング先生との打ち合わせ]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-02 ケーとの話し合い]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-03 同じ日の夜、僕の家にて]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-04 打ち合わせとプラス宣戦布告]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-05 ワンダリング先生の渡してきた本]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-06 戦いの準備]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-07 闇協会の支部での戦い1]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-08 戦いその2]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-09 戦いの終わり、そして]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-10 調べてまわって]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-11 風変わりな依頼]
物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-12 新たな戦い]
物語の最後は、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-13 最後の戦い、そして]
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