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Editer:snow Date:2025-08-20 12:54

バドミントン同好会1 -不調からの始まりの物語-



作 林柚希

張り紙を見ると、でかでかと書いてある。
入部希望者募集!!
―バドミントン同好会―

私は小林奈津美。
高校三年生で、もう今年で引退しなくてはならない。
だけど、部員は幼馴染の孝太郎とあと二人しかいない。
全部で四人だけだ。
後の二人はまだ二年生だけれども、なんとか存続してほしいと思っている。

クラブにも満たずに、同好会どまりだが、少数精鋭だと自負している。
でも、一年生が入部してくれないのが悩みの種。
誰か、入ってくれないかなぁ。

そんなことをつらつら考えながら、準備体操と朝練に励む。
夏の大会に向けて、一生懸命練習しているのだが。

「おい、奈津美。」
「何?」

「お前、最近アセりすぎてないか?」
「そうかな。」
「他の事に気を取られるとケガするから気をつけろよ。」
「大丈夫だって。」
「去年だって、夏の大会前にケガしただろ?」

そうだった。
力が入りすぎて、じん帯を痛めたことがあったっけ。
「そうだね、気をつけるよ。孝太郎こそ大丈夫なの?」
「俺はへっちゃらだよ。」
「ほんとかなぁ。」

孝太郎とは幼稚園からのつき合いでくされ縁だ。
とりあえず、と言ってはなんだが混合ダブルスを組んで、試合に臨んでみる。

「よし、前準備終わり!試合しようぜ。」
「OK!」

体育館のコートに入って、軽く緊張が走る。
「いくぞ!」
「おお!」

前のコートに入った二人も、男女混合ダブルスでなかなか手ごわい。
とは言っても、私達で育てたようなものだ。
もちろん、顧問の先生の指導のおかげもあるだろうけど。

「奈津美、ボサッとしてるなよ。」
「そっちこそ!」

シャトルが飛んできた。
シャトルとはバドミントンの羽の事だが、これがまた侮れない。
本気で打ち込むと、まず視覚で追うのは無理だ。
殆どやま感と反射神経で動く。

「えい。」
いきなりスマッシュでシャトルを返す。
左腕を上げ、右手をスウィングして鋭くシャトルを返す。

相手もまた慌てずに今度はドロップ&カットで返してくる。
これは、遠くに投げると見せかけて手前に落とすのだが、
これも孝太郎が上手く切り返して返す。

おっと。
相手は後ろに大きく後ろに投げられてラケットが追うことも出来ずに空振り。

「やったね。」
思わず顔がほころんでハイタッチ!
まずは1点。
孝太郎がシャトルを打つ。
なかなか鋭いサービスで相手は切り返せずにまたこちらに1点。

「よっしゃ!」
私の番だ。
私もシャトルを打ったが、ネットに当たってしまった。
相手に点が入る。
「あちゃ~。」
「ごめん!孝太郎。」
「ドンマイ、ドンマイ。」

相手にシャトルを渡すとラケットをかまえる。
私にシャトルが飛んできた。
今度は慎重にシャトルを打ち返す。

思わず甘い返しをしてしまい「しまった」と思ったが、
鋭い切り替えしを孝太郎が、鋭いドライブを打ち込んで、
相手は思わず顔の前にラケットを持ってきて、転々とシャトルが当たって落ちる。

「ラッキー!」
「やったね。」

こんな調子で今回、第1ゲームは先取したが第2ゲームは取られて第3ゲームは勝つことが出来た。
「孝太郎、調子いいね。」

スポーツドリンクを片手に思わず声をかける。
「まぁね。」
まんざらでもなさそうだ。
「奈津子はイマイチじゃね?」
「そうかも、どうしたんだろ、私。」
「新入部員の事とか考えてたんだろ?試合中は駄目だぜ。」
「そうは言ってもさぁ、同好会でさえも無くなるなんて寂しすぎるよう。」
「まぁ、そうだけど、後はあの二人に任せようぜ。」
「そうかなぁ。」
「だって受験もあるだろ?あれもこれも、なんて思ってたら試合に負けちまうよ。」
「それは困るね。」
「だろ?」
「孝太郎は単純でいいなぁ。」

「お前なぁ、励ましてるのにそれはないだろ~?」
「そか、ごめん。」
「もう朝練も終えて支度しないと、午前中の授業に遅れるぞ。」
「やばっ、急がなくちゃ。」
手早く荷物をまとめて更衣室で着替えて教室を目指す。
更衣室と言っても、テニス部に間借りさせてもらっている。
テニス部に友達がいて、顧問の先生に掛け合ってくれたのだった。
もちろんバドミントン同好会にも、顧問の先生がいないわけじゃないが、
正直あまりやる気はなさそう、というのもあるが忙しい先生でもある。
まぁ、この人数では仕方ない。

授業のチャイムが鳴りそうな時間になってきている!
急がなくちゃ!!
バタバタを自分の教室を目指して行ったのだった。


物語の初めは、こちらになります。
バドミントン同好会 1 -不調からの始まりの物語-

物語の続きは、こちらになります。
バトミントン同好会 2 -廃部と入部と-

物語の続きは、こちらになります。
バドミントン同好会 3 -孝太郎と恋バナと-

物語の続きは、こちらになります。
バドミントン同好会 4 -成就と失恋と-

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