Editer:snow　Date:2025-10-26 06:42

バーチャル学校vol4-05ワンダリング先生の渡してきた本

作 林柚希

ワンダリング先生、父さん、母さん、ケー、僕と会議を解散すると、先生は帰り、父さんと母さんは居間に残り、僕とケーは僕の部屋へ移動した。
勉強机の前に椅子が二つあり、僕とケーはそれぞれ本を机に並べると話し出した。
「また勉強しなきゃだね。」ケーはため息交じりに細く言った。
「まぁ、いいじゃん、それも。」僕は励ましたかったけど、うまく言葉が続かなかった。
「そうだね。ま、いっか。」ケーは僕の口癖を言うと、照れ臭そうに笑った。
「暫く本を読んでいよっか。」僕がケーに提案した。ケーはＯＫと言うと、それぞれ本を読むことにした。
僕は、まず、『魔法大全』をめくってみた。良く知られた国語辞書のように分厚くて、ページをめくると紙が薄くて驚く。乱暴にめくると破けそうだ。これは、魔法に出てくる単語の辞書のようなものだった。
ケーを見ると、本に没頭していて全く僕の視線に気づかないようだ。
僕も頑張らなかきゃだな。そう、思い直してもう一冊の本に手を伸ばした。
もう一冊の本は、よくあるハウトゥー本の厚さで灰色一色だ。
本の表紙をよく見ると、ど真ん中に、名前を付けて仲良くしてね、とある。
名前～？僕は、驚いて本を色んな角度から見るが、代わり映えもなく別にどうってことはない。
名前、かぁ。僕は、山勘でとある名前が思い浮かんで、こう呼びかけてみた。
「お前をルーカスと呼ぶことにする。よろしくな！」
僕がこう呼びかけると、本がバシっと音がして色が変わり始めた。徐々に中央から外側に向けて、金色の光が起こり徐々に変化し始めていた。
そして、全体的に淡い金色の光が満ちると本が応えた！
「やっほぅ！僕をルーカスと呼ぶのは君かい？」
机に置いた本が、ぴょんと立つと、表紙に目鼻口が付き、本に手足がついた。
その呼びかけに驚いた僕、それからケー。両方ともあんぐりと口が開きっぱなしだ。
子供とは違うが、そのやや高音の声にまた驚く。
「僕はルーカス。ルーカスは、光運ぶもの、または光と言う意味だね。良い名前だ。」
「そうだね、僕が呼びかけた。僕はトゥルーだよ。」
「君はなんて名前だい？お嬢さん。」ルーカスはなんだか楽し気だ。
「私は、ケー。正式にはケイトと言うの。だけど、ケーでいいわ。」ケーはまだ、驚いた、と言う顔をしている。僕は、なんだかよくしゃべる本だな～という思いだ。
「ＯＫ、トゥル－にケーよろしく。二人は魔法使いかい？」ルーカスはにこやかに言った。
「いや、僕が魔法使いで、ケーは魔法使いじゃないよ。」僕がルーカスに答えた。
「そう。じゃ、ケーは何ができるのかな？」ルーカスは、机の端から端までテケテケ歩いている。ヒマなのか？
「私は、主に予言と占いだよ。ルーカスは何ができるの？」ケーが言った。
「ボクは、魔法の事を案内する本なんだ。だから魔法の事ならなんでも質問してほしい。」心なしか、エヘンと胸を張ってルーカスは答えた。
「じゃ、さ…。」僕は夜通しこの面白いヤツに色々答えさせようと、頭をフル回転し始めたのだった。


物語の初めは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-01 ワンダリング先生との打ち合わせ]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-02 ケーとの話し合い]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-03 同じ日の夜、僕の家にて]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-04 打ち合わせとプラス宣戦布告]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-05 ワンダリング先生の渡してきた本]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-06 戦いの準備]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-07 闇協会の支部での戦い1]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-08 戦いその2]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-09 戦いの終わり、そして]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-10 調べてまわって]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-11 風変わりな依頼]

物語の続きは、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-12 新たな戦い]

物語の最後は、こちらになります。
[バーチャル学校vol4-13 最後の戦い、そして]

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