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●詩、小説●

2023-09-12 19:11:21

挑戦



人生は、やり直しがきかないと思う。

だけど、挑戦は思う限りし続けることができると思う。

この年の、この月の、この日の、この時間の、この分数の、この秒数に何かをしていることは、それは今生で一回だけだと思うから。

だからこそ奇跡のように貴重な出来事なんだと思う。

それは一回だけに、やり直しがきかない。

だけど、挑戦したいと思い続ける限り、できるものなんだと思う。

さぁ、あなたは、何をする?
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2023-09-04 01:35:09

~お側に~ 人魚姫



作 林柚希

気がつくと、人魚姫は岸辺に倒れていたのでした。
「私…。」と言おうとして声が出ない事に気がついたのです。

(どうしよう。声が出ない)人魚姫は不安になってきました。
(ラウルに会っても、この髪の長さで声が出なければ、私とは思ってくれないかもしれない。)
泣きそうになりながらも、辺りを伺うと、人がおしゃべりしながら近づいてきたのを感じました。

男女二人のようです。座って一生懸命手を振りました。
すると、その男女は気づいたようで、「どうしたんですか~?」と近づいてきました。

男性の方が、ハッとしたようです。
「君・・・。」人魚姫に声をかけてきました。
「僕はラウル。君は誰だい?」優しい声に泣きそうになりながら、人魚姫は答えようとしました。
だけど、声が出ないことに気づき、のどに手を当てる人魚姫に、ラウルは異変を感じたようです。
「喉が、どうしたんだい?」ラウルに尋ねられ、人魚姫は迷いながらも足もとの砂に書きました。
(私は、パール)ラウルと一緒にいた女性が読み上げた声にラウルは驚いた。
人魚姫に向かって「君はパール?あの人魚の?」今度は一緒の女性が驚いています。
「彼女は人間よ?なぜ人魚なの?」女性がラウルに聞きました。
「以前話した、パールという人魚なんだよ。」と女性にラウルは言いました。そして
「君がパールなら、しっぽはどうしたの?」ラウルが人魚姫に尋ねました。
人魚姫、パールはまた砂に指で書きました。
(魔法使いに足を変えてもらったの。髪はその魔法との交換なの。)
人魚姫は、必死で砂に書き添えました。
「ラウル、私を信じて。」

ラウルはパールの話に驚き、だけど記憶の女性と同じパールを見て決心します。
「オリビア、彼女を介抱してもらえないかい?僕の遠縁の親戚の娘として。」
「彼女の話を信じるんですね。」オリビアは複雑そうな顔をしてラウルに聞きました。
「うん、彼女から以前に会ったパールと同じ海の香りがするんだ。」
そして、ラウルがピッと指になにか捉えると、二人に見せた。
「これは、パールのうろこじゃないかい?」特にパールに見せた。
それは、白から青にそしてグラデーションになった、とても綺麗なうろこだった。
「パールの服についていたよ。これはパールに返すね。」と言ってラウルはパールにうろこを返した。
パールはとてもうれしそうな表情して、うろこを手に取り、眺め洋服のポケットにしまった。

オリビアは、その普通の魚とは言えない大きなうろこが、この話は本物なんだ、と思わせたようだった。
そういうと、「立ってくださるかしら?ちなみに私はオリビアと言います。よろしくパール。」
パールは思いがけない申し出に、ニコニコして立ち、ペコリとお辞儀をしました。
そして、一歩踏み出して、思いもよらない痛さに思わず座り込みました。
(まだ、両足に代わって間がないからかしら。痛い。)
ラウルとオリビアは、そんなパールを見て不思議な顔をして「どうしたの?」と聞いてきました。

(足が痛いの。両足になって間がないから。)泣きそうになりながら、パールは砂に指で書きました。
「そうか。足が痛いんだね。」ラウルが可哀そうに、と足を見て言いました。
「わかりました。近くに馬がいますので、馬を連れてきますね。」オリビアはそう言うと歩き出していった。

「パール、会えてうれしいよ。」ラウルは嬉しそうに言い出してきたので、パールは足の痛いのも忘れて驚いていました。
「オリビアの手前、なんだか言いづらかったんだ。」ラウルは頭を搔き搔き言った。
(私も、ラウル。ずっと会いたかった。)目を潤ませてパールは砂に書きました。
「嵐の夜、君に会ったよね?」ラウルはずっと訊きたかったと言った。
(そうだよ)と唇を動かしてパールは頷いた。
「やっぱり!あれは夢じゃなかったんだね?」とラウルは訊いた。
(そう、夢じゃない)と砂に書くとパールは、こくりと頷いた。
「あの嵐の夜は助かったよ。ありがとう!」思わずパールをぎゅっと抱きしめました。
その快挙に、パールは驚きともに、心がきゅんとしていました。

パールを離すと、ラウルはオリビアが近づいてきたのを知りました。
「ラウルー!パール!」オリビアが大声をあげると、馬から降りてパールを乗せました。
もう一頭の馬にラウルが乗り、オリビアもパールと乗ると、修道院に戻っていきました。

海から、じっと様子を聞いていたパールの友達のイルカは、静かに海へ戻っていきました。


※よく言われる所の「人魚姫」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。

物語の初めは、こちらになります。
紹介「~邂逅~ 人魚姫 vol.1

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~嵐の夜~ 人魚姫 vol.2

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~相談~ 人魚姫 vol.3

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~お側に~ 人魚姫 vol.4

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~最期 前編~ 人魚姫 vol.5

物語の最後は、こちらになります。
紹介「~最期 後編~ 人魚姫 vol.6

物語の番外編になります。
紹介「~番外編 イチョウ並木~ 人魚姫 vol.7
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