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●詩、小説●

2023-10-01 05:28:16

~最期 前編~ 人魚姫



作 林柚希

(ビックリした)人魚姫は、ラウルの侍女達の話を聞いて声無く驚いたのでした。
王子様は王位と花嫁を得る事になりそうだ、と聞いてしまったのです。
(ラウルは結婚してしまうの!?)人魚姫のパールはオロオロしていたのです。
(どうしよう。そうだ、本人に直接聞いてみよう)パールはその場をそっと離れるとラウルを探しに行きました。

「パール!どうしたの?慌ててるようだけど。」ラウルが話しかけました。
パールはテーブルに近づくとペンを走らせ、ラウルに聞いたのでした。
(ラウルは結婚してしまうの?)その紙をラウルに見せラウルは驚いたのでした。
「結婚?僕はそんな話は知らないよ?」ラウルはどこから聞いたのか尋ねました。
(侍女さん達から話を聞いたの)紙に書くとすぐにラウルに見せます。
「そうか。僕は父に聞いてくる。ちょっと待ってて。」ラウルは急いでかけていきました。
(ラウルも知らなかったのね。どうしよう。)パールは落ち着かない様子です。

「お父上!ちょっと話をさせてください。」ラウルは忙しい王様を呼び止めました。
「なんだね、ラウル。忙しいのだが。」
「単刀直入に聞きます。僕に黙って結婚の話を進めていませんか?」ラウルはズバッと切り込んで訊いた。
「ああ、その話か。お妃がな、そろそろ嫁を、というのでな。」王様はひげを触りながら言いました。
「嫁!?嫁って誰ですか!」ラウルはぎょっとしました。こっそりパールの事を思いながら。
「嫁は、隣国の姫君でな、オリビアと言うのだが。」王様は笑って言ったのです。
「オリビア!?あの修道院にいたオリビアさんですか!?」もっとビックリしたラウルが言いました。
「確かそうだったな。お前もそろそろ身を固めた方がよいぞ。知らぬ仲でもないしな。」王様はそこは押さえて置こうと言いました。

「ダニエルはどうするんですか?」ラウルはまだ負けるもんかと言います。
「ダニエルかお前の双子の弟にも、嫁を取らせないとな。」王様は思案顔になっています。
「僕は、まだ決めませんからね、結婚なんて!」ラウルは、失礼します、とだけ言うと王様のもとを去っていったのでした。

「ダニエル!ダニエルいるかい?」ラウルは大声で探し回っています。
「なんだい?兄さん。なんだかせわしないというか…。」ダニエルは答えました。
「お前は、王位を継ぎたいか?」ラウルはいきなり聞きました。
「そうだね、兄さんが継がないなら、ね。」なんだかウインクしています。
その様子に、ラウルはイラっとしながら、また言いました。
「王位はお前が継いでいい。但し、嫁さんを貰わないといけないけど。」
「嫁さん!?そんな話が出ているの?誰?」ダニエルは驚いています。
「修道院にいるオリビアだよ。隣国の姫君なんだそうだ。」ラウルは、ダニエルに注目して言いました。
「オリビアって、兄さんを助けた?…、隣国の姫君!?」ダニエルは更に驚いた様子。
「そうなんだよ、僕はオリビアと結婚なんてする気はさらさらないんだ。」ラウルは言い募ります。
「お前は、オリビアのことは知っているよな?」
「まぁ、知っているけど…。」なぜかポッと頬を染めるダニエルに、意外そうなラウルでした。
「なんだ、…そうなのか?それならお前がオリビアと結婚すればいい。」ラウルは宣言するように言うとその場を去ろうとしました。

「待ってくれ、兄さん!」引き留めるダニエル。
「なんだいダニエル。早くしてくれ。」じれったそうにラウルは言います。
「本当に王位と嫁さんを貰ってもいいんだね?」念を押すようにラウルに訊くダニエルでした。
「いいよ。本当の話をするよ。僕は他の女性が好きなんだ。だからだよ。」ラウルも答えました。
「わかった、僕が王位を継ぐから。」ダニエルもキッパリと答えました。
「オリビアをよろしくな、ダニエル」握手だ、とラウルはダニエルと握手しました。

修道院を訪れたダニエル。
「オリビア!オリビアはいるかい?」花を抱えたダニエルは、上機嫌でオリビアを探しました。
「ここにいます。ラウル?あ、ダニエルね?」こんにちは、と挨拶をする二人。
「これはお土産。受け取ってください。」ダニエルはオリビアに花束を渡しました。
「まぁ、バラの花ね?いい香りだこと。」思わずニッコリ微笑むオリビアでした。
「喜んでくれてありがとう。…僕は持って回った言い方は好きじゃない。だから単刀直入に言ううね。」
ダニエルは、生真面目な表情でオリビアに言いました。
「僕と結婚してほしい。そしてこの国を一緒に盛り立ててくれないか?」
「…え?」オリビアはビックリしています。
でも、すぐに複雑な顔になり、なんて切り返そうか考えていました。
「君の気持は、薄々察しているよ。でも、僕は君の気持ちを徐々にときほぐそうと思うんだ。」そしてダニエルは言いました。
「僕のそばにずっといてくれないか。」
「ラウルは…?」思わず泣きそうになりながら、オリビアは尋ねました。
「ラウルは、王位を辞退したんだ。この意味がわかるかい?」ダニエルは慰めるように言いました。
「そう…ですか。」オリビアは、目をつぶり、そして答えました。
「わかりました。あなたの申し出をお受けします。」オリビアはダニエルを見つめました。
「ダニエル。あなたは仕方なくこの話を受けたの?」
「違うよ。」オリビアの手をそっと握りしめて言いました。
「僕は、オリビアが好きだよ。君が側にいてくれたらすごく嬉しい。」ダニエルはそっと囁くように言いました。
「僕じゃ役に立たない?」
根負けしたように、オリビアは言いました。
「あなたには負けるわ。わかりました。一生私のことを大事にしてね。」
「もちろん。」ニッコリ微笑んでダニエルは了承しました。

~最期 後編~につづく

※よく言われる所の「人魚姫」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。

物語の初めは、こちらになります。
紹介「~邂逅~ 人魚姫 vol.1

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~嵐の夜~ 人魚姫 vol.2

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~相談~ 人魚姫 vol.3

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~お側に~ 人魚姫 vol.4

物語の続きは、こちらになります。
紹介「~最期 前編~ 人魚姫 vol.5

物語の最後は、こちらになります。
紹介「~最期 後編~ 人魚姫 vol.6

物語の番外編になります。
紹介「~番外編 イチョウ並木~ 人魚姫 vol.7
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