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●詩、小説●
2024-03-02 09:03:29ヘンゼルとグレーテルno.1 -白く光る小石-
作 林柚希
とある森の中に、貧しい木こりの夫婦とその兄弟が住んでいました。
兄妹はヘンゼルとグレーテルといいました。
一家は、その日の食事がままならないほど貧しかったのです。
そんな時、奥さんにこんな提案をされたのでした。
お母さん「あなた、もう食事を食べるための食物が無いの。」
お父さん「何かないのか?」
お母さん「ないのよ。思い切って子供たちを森の中に置いてきましょう。」
お父さん「それは。…それしかないのか?」
お母さん「もう、食べていけないのよ。」
お父さん「わかった。明日そうしよう。」
その話を聞いた兄妹はこんな会話をしていました。
グレーテル「お兄ちゃん、私達捨てられちゃう。」
ヘンゼル「そんなことないよ。大丈夫!」
グレーテル「だけど、どうしたらいいの?」
ヘンゼル「お兄ちゃんに任せて!だからもう寝よう?」
グレーテル「うん。おやすみ。お兄ちゃん。」
グレーテルが寝ているうちに、そっと家から抜け出すとヘンゼルは河原に行き、白い小石を沢山集めて持ち帰りました。
次の日の為に。
次の日。
お母さん「今日は森の中へ行くわよ。」
グレーテル「でも、今日は、あまり行きたくはないよ、お母さん。」
お父さん「そうはいかないんだよ。食べ物を探さなくてはいけないんだ。」
ヘンゼル「そうしたら、一緒に帰ってもいい?お父さん。」
お母さん「森の中でかなり探すからね。私たちは帰れないかも。」
グレーテル「そうなの?お母さん。」
お父さん「大丈夫だよ。後で迎えに行くからね。」
ヘンゼル「わかったよ、お父さん。」
森の中へ木こり一家が入っていきました。
お母さんが道案内をして、グレーテルはお父さんに手を引いてもらいました。
兄のヘンゼルはこっそりポケットから小石を出すと、ポト、ポトと道すがら落としていきました。
そして、兄弟はこう言われました。
お母さん「さぁ、森の中で食べ物を探してね。」
ヘンゼル「でも、暗くてわかりずらいよ、お母さん。」
お父さん「よく目を凝らせばわかる。頑張れ。」
ヘンゼル「わかったよ、お母さん、お父さん。」
グレーテルも、涙を流しそうになりながら、わかった、と小さく答えました。
両親、とりわけお父さんは名残惜しそうに去ると、ヘンゼルとグレーテルは本当に食べ物を探し始めたのです。
そして、とても赤くて甘く美味しい野イチゴを沢山取ってカゴにしまうと家へ帰る道を探そうとし始めました。
辺りは薄暗く、森の中はうっそうとしています。
ヘンゼル「大丈夫かい?グレーテル。」
グレーテル「お兄ちゃん、私は怖いよ~。」
ヘンゼル「大丈夫だよ。僕が手を引いてあげるからね。」
グレーテル「家はどこなの?どこにいるかわからないよ、お兄ちゃん。」
ヘンゼル「帰り道はわかるよ。道に落ちている、白い小石を辿るんだよ。」
グレーテル「そうなの?」
ヘンゼル「大丈夫。絶対に家へ帰られるからね。」
グレーテル「そうだね。お兄ちゃん。」
ヘンゼル「家に帰って、お父さんたちを驚かそうね!」
グレーテル「うん!」
ヘンゼルは、グレーテルの手を引きながら、道に落としていった白く光る小石を辿っていったのでした。
※よく言われる所の童話「ヘンゼルとグレーテル」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。
物語の初めは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.1 -白く光る小石-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.2 -辿るパンくず-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.3 -お菓子の家-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.4 -老婆の魔女-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.5 -家畜小屋-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.6 -宝物-」
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