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●詩、小説●
2024-03-05 16:56:55ヘンゼルとグレーテルno.4 -老婆の魔女-
作 林柚希
ヘンゼルとグレーテルの兄妹が大喜びでお菓子の家を食べていました。
すると、クッキーのドアが開いて、一人の老婆が家の外に出てきました。
老婆は、ワシ鼻にギョロリとした大きな目のおばあさんです。
黒いフードを背中に垂らし、灰色の衣服を身にまとっていました。
足が悪いのか、杖をついてびっこを引いていました。
老婆「誰かの?」
グレーテル「あ!おばあさん、ごめんなさい。勝手にお菓子の家を食べちゃって。」
ヘンゼル「あまりに美味しそうないい香りがしていて思わず食べました。ごめんなさい。」
老婆「まぁ、食べてしまったのは仕方ないの。」
ヘンゼル「よかったら、もっと食べてもいい?お腹が空いてて…。」
老婆「それ以上、家を食べられると困るからやめてくれ。その代わり、食べ物をやるからの。」
老婆の乾いた笑い声に、ヘンゼルとグレーテルはヒヤリとしながらも家に招待されたのでした。
家の中に入ると明らかに広いので、兄弟は驚きました。
台所は別の建物にありましたが、ベッドが幾つかある部屋が1部屋、老婆の部屋が2部屋ありました。
他に皆で食事するダイニングが1部屋、暖炉がしつらえられている部屋が1部屋でした。
老婆「このベッドのある部屋で休みなさいな。」
ヘンゼル「ありがとう、おばあさん。」
グレーテル「お腹空いているんだけど、食べ物はあるかな?」
老婆は、チッと舌打ちすると、できるだけ笑い顔にして答えました。
老婆「食べ物はあるよ。後であげるから。」
グレーテル「ありがとう。おばあさん。」
ヘンゼル「ありがとう。」
老婆「二人とも、こんな森の中でどうしたんだい?」
グレーテル「私達…。」
涙ぐみそうになるグレーテルに慌てたヘンゼルが急いで言いました。
ヘンゼル「森で迷ってしまって。」
老婆「迷ったのかい?家はどうしたんだい。」
ヘンゼル「家に帰る途中だったんだ。家にはお父さんとお母さんが待ってる。」
老婆「そうかい。それならしばらくここにいるかい?」
グレーテル「いいの?おばあさん。」
老婆「いいよ、この家は私一人だ。まぁいればいいさ。」
ヘンゼル「ありがとう、おばあさんいい人だね。」
グレーテル「ありがとう。」
老婆「ただしね、あたしはこの通り足が不自由なんだ。家事を手伝ってくれると助かるさね。」
ヘンゼル「僕、手伝うよ、おばあさん。」
グレーテル「私も、手伝います!」
老婆「ああ、お前さんが手伝ってくれるといいさね。」とグレーテルを指さしました。
グレーテル「わかったよ、おばあさん。」
老婆「二人とも名前聞いてなかったね。」
ヘンゼル「僕はヘンゼルといいます。」
グレーテル「私はグレーテルです。」
老婆「あたしゃ、カミラってんだ。よろしくな。」
ヘンゼル「よろしくお願いします、カミラさん。」
グレーテル「よろしくね。カミラおばあさん。」
老婆「その、「おばあさん」は、よしとくれ。私はまだ若いつもりさね。」
また乾いた笑いをするカミラに兄妹はやっぱりヒヤリとしていました。
兄妹はカミラと食事を作ると、早々にベッドで休んでしまいました。
カミラの思惑も知らずに。
カミラは、そっと外に出ると、野菜を売りに来た行商人とおしゃべりをしていました。
行商人「野菜を安くするよ。」
カミラ「ありがたいね。」
行商人「家の中に誰か人の気配がするね。誰かいるのかい?」
カミラ「まぁ、子供が二人いるよ。」
行商人「あんたさんは、子供なんていなかっただろ?」
カミラ「まぁね。迷い込んだのさ。」
また乾いた笑いをすると。
行商人「その子供、売ってくれんかな?」
カミラ「それはダメなんだよ。」
行商人「どうするんだい?」
カミラ「まぁね、食っちまおうかと思ったのさ。」
行商人「御冗談を!」
カミラ「まぁ、冗談だよ。気にしなさんな。」
行商人「逆に売って欲しいものがあるんだった。」
カミラ「なんだい?」
行商人「惚れ薬なんだけど、あるかい?」
カミラ「ああ、あるよ。野菜と物々交換でいいかい?」
行商人「いいよ。他に毒薬もオーダーがあってね。あるかい?」
カミラ「今はないんだが…。今度作っておくよ。」
行商人「それは助かる。」
カミラと行商人は、惚れ薬と野菜を交換すると別れていった。
カミラは、魔女だったのです。
さて、ヘンゼルとグレーテルはどうなるのでしょうか。
※よく言われる所の童話「ヘンゼルとグレーテル」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。
物語の初めは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.1 -白く光る小石-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.2 -辿るパンくず-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.3 -お菓子の家-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.4 -老婆の魔女-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.5 -家畜小屋-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.6 -宝物-」
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