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●詩、小説●
2024-03-07 00:22:37ヘンゼルとグレーテルno.6 -宝物-
作 林柚希
グレーテルを食う為に大鍋に湯を沸かすよう命じたカミラ。
グレーテルは、思わず胸の前で十字を切るのでした。
そして、カミラがグレーテルに言ったのです。
カミラ「グレーテル、パン窯へ行って、パンの焼け具合を見ておくれ。」
その時、カミラの考えを読み取ったヘンゼルは、真っ青になってテレパシー通信してきました。
ヘンゼル(グレーテル!パン窯へ入っちゃだめだよ!)
グレーテル(でも、入らないと怖いよ、お兄ちゃん。)
ヘンゼル(大丈夫。僕が教えるから。)
グレーテル(どうしたらいいの?)
ヘンゼル(パン窯はどうしたらいいか、わからないと言うんだ。見本を示してくれって。)
グレーテル(わかった。後は?)
そこでテレパシー通信は終わってしまい、カミラが怒鳴っていることに気が付いた。
カミラ「どうしたんだい!!このウスノロ!」
グレーテル「はい、すみません、カミラさん。もう一度言ってください。」
カミラ「もう一度言うさね。パン窯へ行く事!わかったさね?」
グレーテル「あの、私…。」
カミラ「あたしゃがね、先導するから。行くよ!」
グレーテル「はい。」
台所の小屋にやってくると、パン窯の小部屋の前でカミラがここに入るよう言いました。
だけど、グレーテルは、ちょっとわからないから先に入って説明してほしい、と言いました。
チッと舌打ちをしたカミラは、びっこを引きながらパン窯に入ると奥で、ここで、と説明を始めた。
その時、グレーテルはパン窯のドアを急いで閉めると、かんぬきを下ろしました。
ギャっと振り向いたカミラが、パン窯の中のドアの前でガンガンドアを叩きながら怒鳴りつけていました。
そして、パン窯から離れて台所のある小屋を出ると、グレーテルはその足で家畜小屋へ急ぎました。
家畜小屋でヘンゼルを見たグレーテルは、ヘタヘタと足が崩れそうになりました。
けれど、頑張ってヘンゼルを閉じ込めたかんぬきをあげて、ヘンゼルを救出したのです。
2人は喜び合いました。
ヘンゼルは健闘をたたえ合い、グレーテルはヘンゼルに抱きついて泣いていました。
喜びの涙が切れる頃、グレーテルはヘンゼルを伴ってお菓子の家の中に入りました。
お菓子の家は、ただの山小屋になっていました。
魔女の家を色々探すと、カミラの部屋から沢山の宝石が見つかりました。
そして、グレーテルが寝泊まりしていたベッド下には、グレーテルがこっそり隠した野菜や果物、お肉といったものがカゴに入っていました。
宝石と食材を2つのカゴに入れて、兄妹は家路についたのです。
家までは、カミラが持っていた、魔法の品の水晶で帰ることができました。
家に着くと、お父さんとお母さんの言い争う声が聞こえました。
お父さん「おい、食事はないのか?」
お母さん「もうないわよ。」
お母さんはゴホゴホと咳をしています。
お父さん「やはり、子供たちを残していかなきゃよかった。」
お母さん「そうはいっても、もう食材はないのよ。」
お父さん「お前は!子供たちが可愛くないのか!」
お母さん「そりゃ可愛いわよ。私だって鬼じゃないのよ…。」
お父さん「俺も、バカだった。子供達をみすみす置き去りにして。くそう。」
お父さんは、その辺にあったものをお母さんに投げると、また言った。
お父さん「子供たちを探してくる。やはり何かしたい。待ってられない。」
そんな様子を聞いて、兄妹は、もうやめて!と家の中に入ったのです。
ヘンゼル「お父さん!もうやめて!僕達は帰ってきたよ。」
グレーテル「そうよ、お父さん。お母さんが可哀そうだよ。」
お母さん「お前たち…。」
お父さん「お母さんはお前たちを、置き去りにしようとしたんだぞ!俺もだ。」
ヘンゼル「知ってる。だけど、僕達は宝物を見つけたんだよ。」
そう言って、ヘンゼルとグレーテルは2つのカゴを見せました。
そこには、野菜や果物、お肉といったものや、宝石が入ってきました。
お父さんもお母さんも驚いて、思わず言いました。
お父さん「この宝物はどうしたんだい?」
ヘンゼル「悪い魔女をやっつけて、手に入れたんだ。」
お母さん「悪い魔女?」
グレーテル「私もお兄ちゃんも食べられそうになったの!」
お父さんもお母さんもまた驚きました。
そして、この魔女との怖い冒険譚を話して聞かせたのです。
お父さんも、お母さんも、それからヘンゼルもグレーテルもこの宝物のおかげで幸せになることができましたとさ。
※よく言われる所の童話「ヘンゼルとグレーテル」を私なりに解釈して、イメージを広げて掲載しています。
物語の初めは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.1 -白く光る小石-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.2 -辿るパンくず-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.3 -お菓子の家-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.4 -老婆の魔女-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.5 -家畜小屋-」
物語の続きは、こちらになります。
紹介「ヘンゼルとグレーテルno.6 -宝物-」
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